『浮草』を観た

浮草

1934年に松竹蒲田撮影所で製作した『浮草物語』を監督自らがリメイクした作品。宮川一夫撮影によるアグファのカラー映像が旅役者の世界の情緒を際立たせる佳作である。
(略)
旅回りの駒十郎一座の乗った船が港に着いた。駒十郎(中村鴈治郎II)は一膳飯屋にお芳(杉村春子)を訪ね、その昔二人がもうけた清(川口浩)も今では郵便局に勤めていると知って安心する。清には駒十郎はお芳の兄ということになっていた。

語れる程小津安二郎作品は観てないのだけれども、今まで観た系統とは違う感じでちょっと新鮮だった(・∀・)

正直、一座の劇の幕間までは退屈だった。
幕間で一座の男衆が品定めというか、ビラ配りの時に目をつけた島の女について話す辺りから面白くなっていったw

シミーズの女をあてがわれた男のぼやきや床屋のおかみさんの憮然とした態度と髭剃りの顛末など、非常にコミカルだった。

「秋日和」や「彼岸花」でもそうだったけれど、小津安二郎映画に出てくる男衆三人組はいつも下衆というかお馬鹿なのが面白くて好きだw
終盤の出来事は驚くと共にワラタw

物語は駒十郎の現在の連れ合いであるすみ子(京マチ子)が清とお芳の存在に気づくことからゆっくりと動き出す。すみ子が女の意地で自分の存在を強調しようとした結果、駒十郎になじられ、加代(若尾文子)を使って清にちょっかいを出させるんだけども、その時の加代の行動が中々洒落てる。
全然状況も内容も違うが「コレラの時代の愛」の1シーンを思い出した。


親方役の中村鴈治郎(2代目)は全く知らない。30年ちょい前に亡くなってるからか。

しかしこの頃になると関西歌舞伎の凋落がいちじるしく、鴈治郎自身も周囲の期待の重圧に自身の芸が伸び悩む。また三代目市川壽海を主とする興行方針をめぐる松竹との軋轢、さらには長男二代目中村扇雀(四代目坂田藤十郎)の松竹離脱もあって居場所を失う形となり、1955年(昭和30年)に松竹を離脱した。

とあり、この作品が1959年ということを考えると演者自体もやや浮草のような状態だったんだろうか。

貫禄というべきか迫力と言うべきかわからないが、京マチ子は非常に存在感があったなぁ(・∀・)
この時35歳か。色っぽかったな。劇中では痴話喧嘩ばっかりしていたイメージがある。

笠智衆もちょい役で出てたな、そういえば。


ラストは「男はつらいよ」の寅さん的なものを感じた。
同じ浮草稼業の所為かもしれない。

まあ何はともあれ小津安二郎が好きなら、この変わった味付けの作品も楽しく観れるのではなかろうか(・∀・)