月別: 2017年2月

堕靡泥の星 / 佐藤まさあき

堕靡泥の星

風雨激しく雷鳴轟く或る夜、由緒正しき資産家・神納家に招かれざる客が一人訪れた。脱獄囚の蜷川源平である。包丁を携えた蜷川は神納家現当主である神納康久とその妻・とき江に衣服と金を要求する。大人しく要求に従った二人だったが、蜷川は行き掛けの駄賃とばかりに美しきとき江に襲いかかった。

時が経ち、神納家に一人の赤ん坊が産まれた。この物語の主人公・神納達也である。何も知らず、すくすくと育つ達也とは裏腹に神納夫妻の仲は時が経つほどに壊れていった。検査の結果、達也が自らの子供ではないと知った康久は妻や達也に対する精神的肉体的虐待を繰り返すようになった。その仕打ちに耐えられなくなったとき江は或る日達也と遊園地に行き、玩具を買い与えた後、自害した。

更に十年の時が経った。達也は15才になった。大学教授という職業柄、そして名家の跡取りとして康久は対外的には良き父を装っていたが、その実、達也への冷たい仕打ちは続いていた。

或る日、達也はナチスのアウシュヴィッツ強制収容所について書かれた本「夜と霧」を手にした。「達也はそのすさまじい残虐な殺戮の記録を読むうちにおのれの内部にたぎるどす黒い血の騒ぎをおぼえた」。

一方、蜷川は未だ捕まらず、婦女暴行殺人を繰り返していた。居間のテレビでその報を観ていた達也に気づいた康久は、尋常ならざる勢いで達也を張り飛ばし、部屋の外へと追い出そうとする。余りにも唐突な仕打ちに日頃の恨みつらみも合わせて激昂した達也は食い下がった。そして口論の末に達也は自分が蜷川の子であることを知ってしまう。

達也の中で何かが壊れた。

全19巻。一冊55円の時に買ったので全部で1,045円だった(・∀・)
冒頭のあらすじを書こうと思って改めて最初の方を読み直してみたけど、
結構雑な展開だな、おい(・∀・)

なんかもうちょっと心理描写的なものがあっても良さそうなんだけども、端折りすぎなような気がするw 文字に起こしてみると長い感じになったが、ページ数にして69ページ、アウシュヴィッツや蜷川の連続婦女暴行のシーン等を除くと、大体32ページくらいだからしょうがないか。

えーとまぁ、内容について簡単に言ってしまうと全編的に拉致→監禁→強姦→殺人か強姦→殺人か監禁→強姦かゆきずりの強姦が基本的な話の流れです(´・ω・`) 時折「影男」ばりのカーアクションや銃撃戦、格闘があったりするけど。あと達也が常に強者の立場じゃなくて窮地に追い込まれる話もあったりして、読者を飽きさせないようにさせたりもしている。

まあ何にしてもメインの流れはそういう感じなんで読む人を選ぶ。一応同じピカレスクロマンのジャンルに類別されるであろう「美悪の華」などとは一線を画し、ひたすらに犯罪系な感じ。しかも昭和的な。「殺人全書」とか猟奇事件とかが好きな人向けですねぇ…

よくこんな漫画が連載出来たものだと思うw 
昨今のエロ漫画雑誌にも鬼畜系漫画はあるにはあるけども、あれは歪んだ嗜好であるにせよ、性的にヌかせる為の漫画でちょっと違う。こちらは異常な内容と言えどもヌき用漫画ではなく一般的なストーリー漫画であった。まあ掲載誌と言う観点では”漫画専門誌というよりも、漫画を柱としてヌードグラビアや記事を掲載した雑誌であり、「低俗週刊誌」と呼ばれ”た漫画天国という雑誌だったから、似たようなもんと言えば似たようなもんだけどもw

wikipediaの堕靡泥の星の項目には、

本作は、アウシュビッツ展に展示されているユダヤ人虐殺写真の残酷さに胸が潰れる思いをしながらも、自分の中のサディズムの血が燃え始めたのを感じ取った作者が、「人間が人間を物のように扱える戦争の狂気、そして勝者の権力というものへの憧れ」に心が疼き、そこから執筆したという。また、当時は強姦願望があり、その思いを作品にぶつけたと告白している。

とあるが、まさしくそんな感じの内容であった。ナチス以外に南京大虐殺というか三光作戦やらキリシタン弾圧の話を絡めた回もあった。作品内で色々と持論的なモノを展開しているが、内容的に深いかと言われるとそうでもないような気がしないでもないw

ちなみに「堕靡泥の星」は19巻で終了しているが、続編の「新・堕靡泥の星」があるらしい。こっちはなんかちょっと変な感じらしい。影男が出て来るとかどうとか。いつか読んでみたい。



神納 達也
主人公。連続婦女暴行殺人犯・蜷川源平と神納とき江の子。悪魔のような男ではあるが、そういった人間となる原因は蜷川のDNAというよりも、母・とき江の自死と父である康久の酷い仕打ちを受けて育ったことだと思わなくもない。まあ物語上では蜷川のDNAを強調してる感じは受けるが。女性を陵辱し支配することに重きを置いているところが現実の猟奇殺人犯や強姦犯達と非常に似通っている。或る意味でリアルか。そう言えばトロフィーを持たぬタイプだったな。


蜷川 源平
達也の生物学上での父。こいつが全ての元凶と言えば元凶か。wikipediaだと名前が何故か蛭川源平になっているような気がする。

神納 康久
達也の父。名家である神納家の現当主であり、大学教授。被害者であり加害者。達也を凶悪な悪魔に育て上げたのはこいつだよなぁ(´・ω・`)

神納 とき江
達也の母。ひたすらに不幸だった人。津和野編で後付設定話が出て来るが、あれは必要だったのであろうか。

加納 由美子
康久の友人である大学教授の娘。登場当初は汚れを知らない初なねんねで達也を慕っていたが…

田代 千春
達也の遠縁の女性。親戚一同が神納家の財産を狙って達也と結婚させようと画策し近付けた。達也とは関係ないところで不幸な目に遭う。達也のことを心から思いやった心優しき人であった。

友人
中学・高校・大学まで一緒だった友人。名前があるかもしれないが調べるのが面倒なのでこれでw 大学のシーンと達也というか佐藤まさあきの持論を話させる為の一般人キャラ。大学卒業後は出て来なかったような…


他にも登場人物は沢山居るが、その多くは被害者であり故人が多いので端折る(´・ω・`)
以下はストーリーの一部で問題なさそうなシーンや思わず読んでいて突っ込みたくなったシーンとかを適当に。

もう完全におかしくなってる(´・ω・`)

親戚たちもクズどもばかり。悪逆非道な達也なんだけど、達也が他の悪い奴等によって窮地に立たされると、達也を応援したくなってしまうのはなぜなんだぜ(´・ω・`)?

いやいや、お前はもうそういうレベルの人間じゃないから(´・ω・`)
(※ちちくびは自粛しました(*´・ω・))

言ってることがよくわからない(´・ω・`) つーか自分の標的じゃないと優しくなるところがちょっと変だと思う。

やかましいわヽ(`Д´)ノ

17巻~18巻の淫殺行編で出て来るアメリカの頭のイカれた連中。

そのボスのラルソン。ちなみに17巻~18巻はこいつらに対する復讐がメインの為、ちょっと影男というかアクションシーン多めの内容になっていて16巻までの流れとは異なる。作品内でも3年が経過しているんだったかな?


佐藤まさあきでぐぐると色々とイカれてる逸話がヒットして、中々興味深いw
女性キャラが描けなくてアシスタント達に一任していたが、そのことにより力関係が逆転してしまったというのが特に面白かったw そのアシスタントは松森正という人らしいのだが、知らない名前だったのでぐぐってみたら、「湯けむりスナイパー」の人だった(ノ∀`)

佐藤まさあき
貸し本漫画劇画の時代⑤ 佐藤まさあき氏の悲劇篇-2
「劇画の星」をめざして CC

1998年10月に「『堕靡泥の星』の遺書」という自伝を出したそうだが、その内容が酷いw 佐藤まさあきが交際してきた女性の実名と写真が載っていたらしい。 さすがにそれはまずかったらしく、その辺をマイルドにした改定本「プレイボーイ千人斬り」を改めて出したらしい。 で、まぁその本についてのamazonのレビューを読むと

ガールハント目的で文通の会の広告を雑誌に出して、会員申し込みの同封写真の中から可愛い女の子は自分が拾い、他は男の会員に回すという一種の犯罪まがいのことから、アシスタントを募集してその中からヤリたい女を選んで採用、誘惑しても見向きもしない女は辞めさせ、ヤラせる女をはべらかしてハーレムにしたことも告白している。 プレイボーイ千人斬り | 佐藤 まさあき |本 | 通販 | Amazon

腐れ外道じゃねぇか(・∀・)

自伝を読んでみたいがプレミアついてるみたいだしなぁ……図書館とかで探すべきか。


まあ何はともあれ、昭和的な、猟奇的な、イカれた漫画が好きな人なら読んでもいいのかもしれない。でも良い子は読んじゃ駄目だよ(・∀・)

このエントリを書くのになんかむっちゃ疲れた…(ヽ’ω`)