家政夫パタリロ! / 魔夜峰央

家政夫パタリロ!シリーズ

『パタリロ!』のキャラクターを借用し、オリジナルの物語を展開したスピンオフ作品。白泉社の『Silky』に連載された。

バブル経済期に事業に失敗した父が借金(百億円)を残して他界したため、それを返済するべく家政夫として働く主人公・越後屋波多利郎の派遣先でのドタバタギャグを描いたシリーズ作品である。

BOOK☆WALKERでポイント50%バックキャンペーンだかの時に何となく買い揃えた。

このシリーズは各巻に「家政夫パタリロ! (n)」という風にナンバリングしていないから、どれがシリーズかどうか、どういう順番かがわからなくて非常に不親切な感じで今までずっと手に取りにくかったわ(´・ω・`)

出版社側もそんなに売る気がないシリーズなんだろうか。

一応、全5巻で完結。

  1. 家政夫パタリロ!
  2. 奥様はパタリロ!
  3. ビストロ温泉パタリロ!
  4. 出もどり家政夫パタリロ!
  5. 仁義なき家政夫パタリロ!

各巻のタイトルには”パタリロ"とあり、メインキャラクターもパタリロ(正確には波多利郎)ではあるが、本質的に別物と思った方が良い。何話か守銭奴的性格を出すこともあるが、基本的に守銭奴的性格の担い手は相棒であるオカマのおクマさんで、パタリロは基本的に人情味あふれる、仕事に真面目に取り組む少年である。家政夫物なので、パタリロの尋常ならざる銭への執着を残したままだと話が上手く行かないから分離されたんだろうか。

これは俺氏にとって第一の物足りなさになった。"パタリロ"を名乗りながらも、その中身は薄い感じがした(´・ω・`) 

第二の物足りなさは1つの物語の短さ。基本的に話が続くことがない短編集(大枠では続いてはいるが)であり、ほとんどの話が何か何処かで聞いたような見たような話が1つ放り込まれているだけであっという間に大したひねりもなく終わってしまう。「妖怪始末人トラウマ!!」ですら薄味に感じてしまう俺氏には非常に物足りなかった(´・ω・`) まあこれは掲載時のページ数の問題もあるんだろうな。

まあ逆に言えば、ライトなお話をさらっと読みたい層にはいいのかなぁ…?



シリーズ一作目「家政夫パタリロ!」はスタンダード?な家政夫物で、問題を抱える家庭に行った波多利郎が時に真面目に時に悪どく解決し、謝礼を受取り、それを借金返済に回すような感じの話が主。どちらかと言えば人情系メイン。


シリーズ二作目「奥様はパタリロ!」は来日していたアメリカ人実業家・ビンセントの失踪した妻・マシュマロに成り済ましてくれという依頼から始まる。この依頼というか事件は呆気なく終了するのだが、ビンセントの話を聞いた昔の友達から、そんなに似ているのなら会ってみたいとオファーが殺到し(マシュマロはかつてビンセントの通っていた大学のマドンナ的存在であった。)、お金に目が眩んだおクマさんに連れられて一路アメリカへと向かうことになる。途中でオファーが途切れお金がなくなり、美人局やったりメイド喫茶をやったり。主にスパイ系の話が多いかなぁ?

おクマさん。今シリーズで守銭奴キャラを担う。色々と謎が多い人物。元は「パタリロ」本編のオカマバー編?で出ていたキャラかな?

ちなみに「家政夫パタリロ!」に出て来たおクマさんはこんな感じだった。まだ設定が固まっていなかったのかねぇ。


シリーズ3作目「ビストロ温泉パタリロ!」はアメリカでの経験を元にビストロを作って大儲けをしようとするお話。広尾のど真ん中に店を構えるもそこには……

新キャラ・怪奇班第一調査室主席調査官・山坂転太(やまさか ころんだ)を加えた三人で右往左往する妖怪系なお話が多い。



シリーズ4作目「出もどり家政夫パタリロ!」はその名の通り、再び普通の家政夫物……と言いたいところであるが、やや過去3シリーズのごった煮のような感じかな。最初の方に出て来た"ギフト"の話は何処へ行ってしまったのだろうか…(´・ω・`)ミホチャンアンケンカ

画像は口うるさいアラファト家政婦派遣協会の番頭。ドケチ。



シリーズ最終作「仁義なき家政夫パタリロ!」は、アラファト家政婦派遣協会に対抗する新しい家政婦派遣会社・CHMとの仁義なき戦いのお話。一応最後の方は連続物っぽくなってそれなりに盛り上がって終わる(・∀・)ボチボチデンナ

画像はアラファト家政婦派遣協会会長・荒川歩安太郎(あらかわ ふあんたろう)
戦中、波多利郎の祖父・越後屋平八郎に命を助けられたことを恩に感じていて、百億の借金を抱え、途方に暮れていた波多利郎を預かった。


まあ、魔夜峰央が好きで、薄味というかあっさりめのものでも良いから読みたいって人向けかなぁ(・∀・)