スタンド・バイ・ミー -恐怖の四季 秋冬編- / スティーヴン・キング

森の奥に子供の死体がある──噂を聞いた4人は死体探しの旅に出た。もう子供ではない、でもまだ大人にも成りきれない少年たちの冒険が終ったとき、彼らの無邪気な時代も終ったのだった……。誰もが経験する少年期特有の純粋な友情と涙を描く表題作は、作家になった仲間の一人が書くという形をとった著者の半自伝的作品である。他に英国奇譚クラブの雰囲気をよく写した1編を収録。

春夏編の『刑務所のリタ・ヘイワース『ショーシャンクの空に』の原作』と『ゴールデンボーイ』が中々良かったのと、「そういや『スタンド・バイ・ミー』の映画をきちんと観たことないし、細かいストーリーを知らないな(´・ω・`)」ということで読んでみた。

収録作である『スタンド・バイ・ミー』と『マンハッタンの奇譚クラブ』はどちらもまあまあ良かったかな。


スタンド・バイ・ミー

原題は"The Body"。 死体として登場するレイ・ブラワー少年を指している?
何か他の意味も含んでいるのかな?

翻訳が『ゴールデンボーイ』の浅倉久志ではない所為ではないのだろうけれども、スティーヴン・キングの原文が悪いのか、序盤は読んでていまいちわかりにくかったり、読みづらいところがあった。

ゴーディ達の冒険と小説内小説やゴーディの作り話という入れ子構造的な部分がある構成だった。小説内小説の内容はなんだかな感が多少あったw スティーヴン・キング自身の習作なのか、あれ。

『スタンド・バイ・ミー』は洋楽やこの時代の空気や知識がないと完全には楽しめない感じなのかもと思った。知らない歌手や曲名の羅列が多くて、その辺を読むのは若干苦行に近かった(ノ∀`)

泥濘とも言える少年たちの家庭環境でのもがき、そこから一時的に逃げるための退避場所とも取れなくもない"友人関係"などが何とも言えない悲哀を感じさせて悪くなかったが、正直、ゴーディのパイの作り話とかはそんなにはまらなかった。

テディとバーンはどうでも良かったが、ちょっとクリスが可哀想な気がした(´・ω・`)

なぜに作者は中年になったエースを最後の方で登場させたのだろうか?
皆何もなかったら、クリスは努力してなかったら、エースのようになっていただろうという示唆なんだろうか?

若干の改変があるらしいが、いつかきちんと映画版も観てみるか(´・ω・`)


マンハッタンの奇譚クラブ

中年のマンハッタンの弁護士デイビッドがナレーターである。シニアパートナーの招待で、ニューヨーク、35ストリートにあるクリスマスに会員達が持ち回りで語り聞かせあう奇妙なクラブに参加する。そこでは読書、おしゃべり、ビリヤードとチェスなどが行われていた。

原題は"The Breathing Method"。
内容的には、まんまと言えばまんまだなw

こちらも入れ子構造な感じの構成で、謎のクラブに関する記述とそのクラブメンバー達が話す奇譚とに分かれる。

と言っても、マッキャロン以外の話は概略のみなので、読み手の消化不良感を倍増させるw

マッキャンの"呼吸法"の話はなんだかんだで引き込まれる筆致であったように思えた。
つーか、これ"ふつうの小説"じゃなくて、いつものホラー小説に分類されそうな感じの内容ではなかろうかw

外側の、というかデイビッドが訪れた奇譚クラブの存在についての記述は蛇足なような気がしなくもない。必要だったのかなぁ?

『恐怖の四季』の他三作は映画化されているけれども、これだけ映画化されていない模様。
2012年に映画化の話は出てたようだけども。
スティーブン・キング「マンハッタンの奇譚クラブ」映画化へ

これはどちらかというか映画化するよりも連ドラにして、毎回クラブメンバーの誰かが不思議な話を語るって感じにした方が良さげ。 完全なレギュラーキャラはスティーブンズだけにして、クラブメンバーは時々入れ替えたり、一回こっきりのキャラにしたりして。


悪くはなかったけれども、インパクトは『ゴールデンボーイ』の2作品には劣る感じがした。