中世都市鎌倉を歩く

山形大学教授である松尾剛次氏によって著された中世の鎌倉について紹介した一冊です。
従来の研究においては放置され歴史と土砂に埋れていた時期の鎌倉を文字通り掘り起こした内容です。

歴史好きな人は言うまでもありませんが、鎌倉のハイキングコースや切通しを歩いたことがある人にお勧めです。
「ああ、なるほどあそこはそういうところだったのか」と散策時の体験と知識がリンクする喜びを味わえると思います。
章立ては源氏、北条氏、足利氏、上杉氏という主の変遷で分けられており、
時代背景とその時代における"鎌倉"が解説されています。


・高時腹切りやぐら~八雲神社をつなぐ祇園山ハイキングコースがありますが、その祇園山の名前の由来

・和賀江島と極楽寺、光明寺の関係
・頼朝の墓と大倉御所(西御門)

・建長寺や巨福呂坂切通し周辺の成立

・源氏山公園(化粧坂)~高徳院(大仏)をつなぐ大仏ハイキングコース、極楽寺辺りの過去

・カヤックのボウルズや清川病院付近が鎌倉御所跡らしい

・六浦道~朝比奈切通し~金沢称名寺や鎌倉公方屋敷

・由比ガ浜の人骨
・鶴ヶ岡八幡宮の各時代での存在意義
・古河公方(鎌倉公方)/関東管領と戦国大名とのつながり

などなど、自分には列挙すればきりがないくらい興味深い要素満載の一冊でした。