おひとりさまの更年期―あなたを救う心と体の処方箋

田中 奈保美 (著)

基本的に閉経後の女性に訪れるものなので俺氏には無縁とも言える更年期ではあるが、昨今では男性にも更年期があるとかないとか言われているようなので、ちょっとだけ目を通すつもりで本を開いた。


序盤でかなりホルモン補充療法(HRT)推しなので、これはHRTを普及させることを目的な怪しい本なのかと邪推してしまった(ノ∀`)
(※)ブックパスの無料読み放題本は結構怪しい内容の物があるw

HRTでぐぐってみると、わずかではあるがその危険性について指摘しているページがあったので「ますますもって怪しい、これは読み進めるのは時間の無駄か( ・´ω・`)?」と思いつつも中年期のアイデンティティの危機について言及している部分に興味があったので、取り敢えず読み進めた。

そうしたら94ページからHRTに関する危険性について書かれた記事とその説明があり、後のページでもHRTが万能のものではなく、抗鬱剤や漢方薬等々、その人の症状と環境に合わせたものを選択・併用すべきであるという旨のことが書かれていたので、ここに来てようやく猜疑心の強い俺氏も本書は怪しくないであろうと判断した(・∀・)


読んだ感じでは、更年期障害というものは、中年期において湧き上がる今までの人生に対してのある種の迷い、身体能力の低下や親族や友人の死によって想起することを余儀なくされる生命や未来に対する不安、会社での重責による仕事のストレスに起因する精神的動揺と閉経というホルモンバランスの急激な崩壊によって引き起こされるモノのように思えた。

本書は閉経におけるホルモンバランスの変化自体を軽視しているわけではなく、今まで軽視され、見向きもされなかった精神的動揺にも注意を払うべきであると主張しているようだったが、多分それは正しいのかなぁと思った。

更年期障害というものの詳しい定義は知らないけれども、何にしてもそれは単にある年代の人達が訴えることの多い症状をおおまかにカテゴライズしてまとめた枠であり、必ずしもその中のモノ全てが単純かつ明確に1対1の原因と結果として対応はしているわけではない。そうした場合に、病気即ち身体的不調やホルモンのみが原因とするのは早計であり、他の原因要素との複合を疑うべきだろう。

多くの人は精神と肉体は全く別のもののように捉えているようだけれども、精神や思考は肉体上で発生している化学変化の集まりであり、肉体と相互に強く影響しあう。正確に言うならば精神は肉体の延長線上に存在するというか、脳の進化の結果として産まれて来た、あるいは自覚されたモノである。そうしたことを踏まえた場合にわかりやすいホルモンバランスの変化のみに注目していてもきっと更年期障害の問題は解決しないだろう。


素人考えではあるけれども、更年期障害と呼ばれる一連の事象において、本当に注目しなければならないことはホルモンバランスの変化よりも中年期におけるアイデンティの再構成の方なんじゃないのかなと思ったりもした。

男性には閉経はないし、ホルモンバランスの変化はあるとしてもそれほど大きいインパクトはないか、それによって不調を訴える人の数は少ない。

目に見えるほどの不調をもたらす大きいホルモンバランスの変化は必ずしも全ての人には訪れない。男女を問わず、より多くの人が体験するのは中年期のアイデンティティの再構成の方であろう。

そうしたことを踏まえると更年期障害と呼ばれる一連の事象は、実は青年期的若さの喪失またはその自覚、忍び寄る死への不安等によって生じる精神的動揺のトリガーであったり、危険信号の発報なんじゃなかろうかと言う風に思った。女性の場合は閉経という身体へのインパクトの大きいイベントを抱えてるが為にこれが生じやすく、その身体的不調に注目が集まっているだけで。


なんやかんやで色々と興味深い内容だった。症例の話はまあ「へぇ(・∀・)」というくらいの感想しかないけどw 中年期のアイデンティティ絡みの本を読みたくなった(`・ω・´)

まあしかしこの辺のこともきちんと考えた上で女性登用を進めないと、高齢の女性に対して”SHINE”は「輝け」じゃなくて「しね」ってことにもなりかねないよね。
無職の俺氏が昨今の政策に疑問を呈するのもなんだが(ノ∀`)

彡 ⌒ ミ
( ・∀・)< 夢は正SHINEになること!
              頭はSHINEしてるじゃん>(・ω・` )