年: 2014年

『浮草』を観た

浮草

1934年に松竹蒲田撮影所で製作した『浮草物語』を監督自らがリメイクした作品。宮川一夫撮影によるアグファのカラー映像が旅役者の世界の情緒を際立たせる佳作である。
(略)
旅回りの駒十郎一座の乗った船が港に着いた。駒十郎(中村鴈治郎II)は一膳飯屋にお芳(杉村春子)を訪ね、その昔二人がもうけた清(川口浩)も今では郵便局に勤めていると知って安心する。清には駒十郎はお芳の兄ということになっていた。

語れる程小津安二郎作品は観てないのだけれども、今まで観た系統とは違う感じでちょっと新鮮だった(・∀・)

正直、一座の劇の幕間までは退屈だった。
幕間で一座の男衆が品定めというか、ビラ配りの時に目をつけた島の女について話す辺りから面白くなっていったw

シミーズの女をあてがわれた男のぼやきや床屋のおかみさんの憮然とした態度と髭剃りの顛末など、非常にコミカルだった。

「秋日和」や「彼岸花」でもそうだったけれど、小津安二郎映画に出てくる男衆三人組はいつも下衆というかお馬鹿なのが面白くて好きだw
終盤の出来事は驚くと共にワラタw

物語は駒十郎の現在の連れ合いであるすみ子(京マチ子)が清とお芳の存在に気づくことからゆっくりと動き出す。すみ子が女の意地で自分の存在を強調しようとした結果、駒十郎になじられ、加代(若尾文子)を使って清にちょっかいを出させるんだけども、その時の加代の行動が中々洒落てる。
全然状況も内容も違うが「コレラの時代の愛」の1シーンを思い出した。


親方役の中村鴈治郎(2代目)は全く知らない。30年ちょい前に亡くなってるからか。

しかしこの頃になると関西歌舞伎の凋落がいちじるしく、鴈治郎自身も周囲の期待の重圧に自身の芸が伸び悩む。また三代目市川壽海を主とする興行方針をめぐる松竹との軋轢、さらには長男二代目中村扇雀(四代目坂田藤十郎)の松竹離脱もあって居場所を失う形となり、1955年(昭和30年)に松竹を離脱した。

とあり、この作品が1959年ということを考えると演者自体もやや浮草のような状態だったんだろうか。

貫禄というべきか迫力と言うべきかわからないが、京マチ子は非常に存在感があったなぁ(・∀・)
この時35歳か。色っぽかったな。劇中では痴話喧嘩ばっかりしていたイメージがある。

笠智衆もちょい役で出てたな、そういえば。


ラストは「男はつらいよ」の寅さん的なものを感じた。
同じ浮草稼業の所為かもしれない。

まあ何はともあれ小津安二郎が好きなら、この変わった味付けの作品も楽しく観れるのではなかろうか(・∀・)

『ロビンソン・クルーソー』を観た

ロビンソン・クルーソー

あんまり合わなかった(´・ω・`)

あらすじはどうも原作とちょっと違うみたい。

婚約者である女性を巡って親友を決闘で殺してしまったロビンソン・クルーソーは、その一族の逆恨みから逃れる為に一年間商船に乗るが、難破してしまう。一人生き残ったロビンソンは商船に残っていた物資と唯一生き残っていた犬のスキッパーと共に無人島生活を始める。救援を求めるも叶わず、歳月が過ぎる。ある日、聞いたことのないおどろおどろしい音楽を耳にし、その出処に向かうと、未開人らしき集団が儀式で男を殺して食べようとしていた。ロビンソンは銃を用いて集団を打ち払い、その男を助けたのだが…

みたいな感じ。

漂流後のサバイバル生活みたいなのはほとんど無いに等しいので、それを期待しているとがっかりすることは間違いない(´・ω・`)

紆余曲折の末に助けた男をフライデーと名付けて共同生活をするんだけども、このフライデーとの友情やロビンソンの心というか考えの変化がこの映画の肝のようだが、あんまりピンと来なかったw 映画の内容ではあんまり文化や人種を越えた友情が築けたとは思えず、結局は友情よりも文化的民族的縛りを選んだように思えたからか。ロビンソンとフライデーの友情の行方もわからないまま都合よく決着をつけたようにも思えた。

ロビンソンは海賊というか奴隷商人たちにどういう思いを持ちながら帰途についたのであろうか?ラストはハッピーエンド風にまとめ上げていたが婚約者のパートは必要だったんだろうかw?

もしかすると婚約者のパートを入れないとほぼ完全に白人女優を出演させることが出来ない為に無理矢理付け加えたのかなと思ったりもするw

imdbを眺めてて思ったが、もしかしてこれってテレビ映画なのかな?シンガポールや幾つかの国では映画として公開しているようだけども、他の国だと「video premiere」や「TV premiere」となっている。ビデオ媒体やテレビで放映ということ?


まあ何はともあれ
 
 
 
 
スキッパー、お前は何がしたかったんや(´・ω・`)

『戦火の馬』を観た

戦火の馬

あんまり合わなかったので適当に書くが、内容は良い馬が産まれて、惚れ込んだ少年の家に落札されて調教されるんだけどお金がなくて軍に徴用されて、紆余曲折の末に従軍してた少年(青年になってたけど)と一緒に帰ってくるお話だよ(・∀・)

多分、テーマ的には第一次世界大戦の惨状やその時に徴用された馬達についてなんだろうけど、俺氏的には「ラッシーの翻案(´・ω・`)?」としか思えなかった(ノ∀`)

アルバート(ジェレミー・アーヴァイン)とジョーイとの友情的なものは観ていてあんまり感じなかったのもはまらなかった理由の1つか。

鉄条網のくだりは「二百三高地」の24時間休戦を思い出したw

そういや皆が英語を喋ってたから、どっちがどっちだかわかりにくかったな。

元々は児童小説だったらしい。どうせ児童小説だったのであれば、最後アルバートとエミリーが結婚しちゃうくらいのウルトラC的ファンタジーな落ちでも良かったのになと思ったり。
映像は綺麗だったといえば綺麗だったような気がする…


出演者達は最近の人が多いらしく他の出演作は全く知らないことが判明(´・ω・`)


『タイム』のリチャード・コーリスは本作を2011年のトップ10映画の1つとして、「『戦火の馬』が感動させずにおけるのは最も冷たい人たちの心だけだろう」といった。

フヒヒ、サーセン(・∀・)

ショート・アラベスク

手塚治虫の短編漫画集。

アラベスクってなんだっけと思ってぐぐったら

1.アラビア風意匠,(アラビア風の)唐草模様,アラベスク.
2.アラベスク 《バレエのポーズの一つ》.
3. a【音楽】 アラベスク 《アラビア(模様)風の装飾的な楽曲》.
b (文学で)きわめて手の込んだ表現上の技法(の型).
arabesqueの意味

アラベスク(arabesque)は、モスクの壁面装飾に通常見られるイスラム美術の一様式で、幾何学的文様(しばしば植物や動物の形をもととする)を反復して作られている。
アラベスク

ということらしい。
まあ3-bの意味か短編を幾何学的文様の一つとしてなぞらえてる感じ?


「刑事もどき」はなんとなく石ノ森章太郎の「佐武と市捕物控」を彷彿とさせた。
まあ段袋が佐武ほど優秀じゃないので全然違うけどw

「苦情銀行」、「一族参上」、「角」、「ヒョーロク記」、「蛸の足」
「現地調査」、「声」、「反射」、「笑う男」、「ゲーム」、「紐」は
藤子不二雄が描いていたら違和感ないけど、手塚治虫作品と言われると
( ´・ω・)エ?って思ってしまうような感じの大人向けな短編。もしかすると
手塚治虫の方が先なんだろうか?1969~1974年の頃の作品のようだけど。

「夜の客」はオチがすぐわかってしまうので、ちょっと駄目だと思ったw

「成功のあまきかおり」はなんとなくオチはわかってしまうが、
内容的にくだらなすぎて、これはこれである種面白いw


凄く面白いというわけではないけれども、肩肘張らずに読み流せる
手塚治虫作品集としてみれば楽しめると思った(・∀・)