カテゴリー: 本・雑誌等

かたき討ち: 復讐の作法 / 氏家 幹人

"かたき討ち"を読み終えた(・∀・)
江戸時代の敵討ちの作法と法制に関する事例、その裏側について書かれた本だった。

三島宿~沼津宿の平作地蔵の時に出てきた「伊賀越道中双六」が載ってないかと
たまたま目にしたこの本を手に取った。

「伊賀越道中双六」の元の話への言及は数箇所あっただけだったが、
今まで思い描いていたステレオタイプの「敵討ち」像を打ち崩す一冊だった。

敵を討つ側の討手と、かたきとしてつけ狙われている「敵持」、事の仔細にこだわらず敵持ちや駆け込んで来た者を「囲者」として全力で庇護する大名や旗本、清から来た朱佩章に清国でのかたき討ちについて詳しく質問する将軍・吉宗、目下の者のかたき討ちの禁止、なんやかんやでしち面倒くさいかたき討ちの届け、寝取られ夫がその妻と間男を斬る「女敵討ち」と内容豊富だった。

その他にも、


「後妻打ち/相当打ち」(うわなりうち・そうどううち)

(1)前妻が後妻をねたんで打つこと。
「あさましや、六条の御息所(みやすどころ)ほどのおん身にて、―の御ふるまひ/謡曲・葵上」
(2)室町末頃から近世初期にかけての習俗。離縁された先妻が親しい女たちなどに頼んで、予告して後妻の家を襲い、家財などを荒らさせたこと。相当打ち。騒動打ち。(後妻打ち

先妻側が日時・持参する得物(竹刀など)を相手方に予告して襲撃し、家財やら食器などを壊したのちに仲裁を受けて終わる、ルールに則って行われた「屈辱と嫉妬を鎮めるための習俗」だった。

一応、「妻が離婚して五日または一ヶ月以内に新しい妻を迎えたとき」に行われたようだが、なんでまた旦那の方に怒りが向かずに新妻の方に向かうんだろうか。女心はよくわからんちんちん(´・ω・`)

女心云々の部分以外にも対外的な体裁もあったのかな。
まあでもルールに則って行われ、流血沙汰になるようなことはなかったというから、
これはこれで有りだったのかもしれない。
現代なら確実に刺殺か放火されるからね((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
海外でも後妻打ちはあったんだろうか。
結婚制度とか根底の文化が違うからなかったのかな?


「指腹/差腹(さしばら)」
怨む相手を指名して自ら切腹し、相手にも切腹させる復讐法。切腹した者の主張が正しいと証明されれば指名された者は切腹を余儀なくされた。会津藩では侍同士の喧嘩が両家を巻き込んで大規模な争いに発展する前に最小限の犠牲で済ませる為の解決策として奨励したらしい。保科正之の指示なんだろうか。


「衆道敵討」
衆道ネタかΣ(゚∀゚;)
作者がわざわざ衆道ネタを発掘してきてこの章を書き上げたのかと思いきや、この章に限らず、衆道由来のかたき討ちの例が多数紹介されており、武士社会は本当に男色が盛んだったんだなと改めて実感する…orz
うほっ(・∀・)


などなどと話の種になりそうな話が色々と載っていて面白い一冊だった(・∀・)

やめたくてもやめられない脳 / 廣中直行

"やめたくてもやめられない脳"を読み終えた。

薬物依存と脳の関係について、
「その答えを探す糸口になる話題を選んで紹介した」本だった。

前半部分は薬物がどのように脳に作用するか、
神経系はどういったものかという説明で面白かった。

特に「恒常性維持の機構」(ホメオスタシス)の為に薬物が残ってる状態では
受容体の感度が落ちるなどは非常に面白い仕組みだ。

心やその中にある"世界"は結局のところ肉体の産物だから、
このホメオスタシスというものの制約、仕組みの上に成り立っているのかもしれない。

防衛機制、空想や妄想によって自己愛、自分の中の"世界"の安定を図る仕組み、
"幸せ"というトータルでの安定した状態を求める心理は精神的ホメオスタシスである
という捉え方も出来るのではないかと思った(・∀・)

後半部分は話があちらこちらへと迷走して
何について語りたいのかよくわからなかった(´・ω・`)

まえがきで「糸口となる話題の紹介」をするよとあったので
それは仕方がないのかもしれないが専門家ではないので、
ただの羅列のように思えてしまった。部分部分で面白い箇所はあったけれど。

「保科正之」 中村彰彦 著 中公新書

保科正之 徳川将軍家を支えた会津藩主

徳川家第二代将軍・徳川秀忠の子、家光の異母弟である
保科正之の生涯及び功績・思想を紹介した一冊。
幕末入門(同著者)で興味を持ち、この本も読んでみた。

保科正之って誰だべ(´・ω・`)?

保科 正之(ほしな まさゆき)は、江戸時代の大名。会津松平家初代、会津藩初代藩主。江戸幕府第3代将軍徳川家光の異母弟で、家光・家綱を補佐し、幕閣に重きをなした。(保科正之

とある。

高校の時の日本史は江戸時代以降は軽くなめた程度だったから、
名前自体は知っていたものの、具体的に何をした人かは全く知らなかった(゚∀゚)

徳川秀忠の子でありながら、庶子ゆえに嫉妬深い正室於江与の方を恐れて不遇を託っていた正之は、異腹の兄家光に見出されるや、その全幅の信頼を得て、徳川将軍輔弼役として幕府経営を真摯に精励、武断政治から文治政治への切換えの立役をつとめた。
(略)
明治以降、闇に隠された名君の事績を掘り起こす。

と紹介文にあるように玉川上水・明暦の大火・三大美事との関わり、
社倉制度、会津家家訓などの功績・思想を主軸に、高遠藩に養子に出された経緯、
夭逝する子供たち、困ったちゃんの側室などのエピソードを交えてこの本は構成されている。

読後の感想は名君であったけれども家族に恵まれない一生というか
家族に恵まれないがゆえに名君となりえた人物なのかなぁといった感じである。

小人が君子の心境を推し量ろうとするのは愚かしいこととは思うのだけれど、
この人は何か一抹の寂しさや無常感を抱え続け、それを打ち消すがために
邁進したんじゃなかろうかと思う(´・ω・`)

あと、もう少し保科正之に対しての評価や知名度はあがってもいいよなあとは思った。
この本は著者の保科正之に対するLOVEが強すぎていささか閉口するかもしれない(w

個人的には『幕末入門』の方が読みやすく、面白かった(・∀・)