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パタリロ源氏物語! / 魔夜峰央

パタリロ源氏物語!

『パタリロ源氏物語!』(パタリロげんじものがたり!)は、魔夜峰央による日本の漫画。白泉社の『MELODY』に連載された。単行本は同社の花とゆめコミックスから全5巻。

1巻を読んだ時は凄く面白くなりそうな予感がしたんだけどなぁ…_| ̄|○

つまらなくはなかったけども、大筋が源氏物語の為に展開に制約が有り過ぎた感が強い。あと俺氏は陰陽道系の話や「アスタロト」が好きだから期待し過ぎてしまったのかもしれない…

あと、原典に大した記述や動きが無い時に簡単に年代ジャンプしちゃってるけど、その空白に近い部分にこそ、安倍家vs賀茂家の戦いや魔夜峰央ワールド的なものを入れて膨らませるべきだったのではないかと思ったりした。

もっと知略を尽くして安倍家というかべーさんと競い合うとか、光がその好色が原因で牡丹燈籠やらそういう怪奇事件に巻き込まれるとか言う話を読みたかったが、掲載誌の制約とか本人の体調が悪くなったとかあるんかねぇ…(´・ω・`)
光が40歳になるくらいまでやるって言ってたのに途中で未完になってるし。

賀茂波多利郎はかなりパタリロっぽくて良かったがバンコランがバンコランらしくなかったな。モテモテ好色の光にバンコランを当てたのは良かったけれども、ちょっと自由過ぎたかな。理性なきバンコランはあんな感じかもしれないが。紫の上にマライヒを当てたのも、まあ順当と言えば順当なんだけれども、大して活躍もせず。ノースダコタロリコンも2回くらいしかその性的嗜好を出さなかったなw

なんだろうなぁ、やっぱり期待していたものは古典の世界を再解釈・改変して魔夜峰央ワールドにして、その中をいつものメンツが自由闊達に暴れまくるものが読みたかったんだろうな、俺氏は(´・ω・`)
そう言えば西遊記は結構面白かったような記憶があるのだけれど。

ああ、すごろくに被せたところとかは良かったかな。



光源氏
桐壺帝と桐壺更衣の間に産まれた皇子。見た目の通り、バンコランだが、上述の通り、ちょっと違うキャラクター。まあ光源氏だからしょうないね(´・ω・`)ヨーォコッソー♪

幼女から老婆までって守備範囲広すぎだよね(´・ω・`)
1000年前くらいの創作物のキャラについて言うのも野暮だけど、現代だったら絶対性犯罪者になってるな。

画像は17歳時の光源氏。若干、老けすぎなような気がしないでもないw

上述の通り、外見はバンコランではあるがキャラは本編のバンコランと同一ではない。「家政夫パタリロ!」のパタリロほどの乖離はないけれども、やはり光源氏という別物のキャラと思った方が良いかもしれない。


賀茂波多利郎度摩利音羅(かものぱたりろどまりねら)
言わずと知れたご存知パタリロ。今作では陰陽寮の賀茂家の領袖。生まれつき術を撥ね返す反対呪法の能力を持つ。物語内で『「あの方」の直系の子孫ですよ』という風に言及されているので役小角の子孫なんだろうか。

比較的、本編のパタリロに近いキャラでギャグを言ったり、金(宋銭=「小さくて丸くていい音のするもの」)に弱いが、光源氏がおちゃらけキャラの要素を強く担っているため、その分、キャラクターの濃さは控え目。陰陽寮での勢力争いという利害の絡みもあり能天気な色魔のバックアップをしているようにも思える。


桐壺帝
光源氏の父ちゃん。作品を通して考えるとなんだか不遇な人だよね(´・ω・`)

桐壷更衣/藤壺中宮
桐壷は光源氏のかーちゃん、藤壺は桐壷に瓜二つだったからか桐壺帝の後宮に入る。(画像は藤壺。) 一応、モデルはエトランジュらしい。確かに目がエトランジュか。ちなみ後で出て来る若紫バージョンの紫の上はエトランジュ目をしている。

安倍仲人
陰陽寮の大部分を支配している安倍家の領袖。パタリロ好きなら、言わずもがなであるが、ベールゼブブ顔。人間とは思えないほどの呪力を持つ。最初は未来を見通せない光源氏を警戒している程度であったが、ある一件から目の敵にするようになる。朝廷に仕えながらも自らの目的の為に戦乱を起こそうと目論んでいるっぽい。

鬼一法眼(きいちほうげん、おにいちほうげん)は、室町時代初期に書かれた『義経記』巻2に登場する伝説上の人物。

京の一条堀川に住んだ陰陽師。『六韜』という兵法の大家でもあり、文武の達人とされる。源義経がその娘と通じて伝家の兵書『六韜』を盗み学んだという伝説で有名。また剣術においても、京八流の祖として、また剣術の神として崇められている。

天狗(´・ω・`)?
わざわざ他の伝説から引っ張ってきたのでvs安倍仲人との戦いで活躍すんだろうなぁ(・∀・)と思っていたら、桐壺更衣が息を引き取る辺りと光が病に倒れた時の加持祈祷のところでしか出て来ない(´・ω・`)
非常に勿体無い。


怠羅坊紅丸(なまらぼうべにまる)

典薬寮付き呪禁師。鬼一法眼の兄弟弟子。鬼一法眼と一緒に対安倍仲人の戦いに活躍するかと思いきや、やはり加持祈祷のところでしか出て来ない(´・ω・`)


空蝉
伊予介の後妻。方違えに来た光の魔手にかかる。

元々は上流貴族の娘(父は中納言兼衛門督)として生まれ育ち、宮仕えを希望したこともあったが、父の死で後ろ盾を失った。そのため心ならずも、伊予介(伊予国(現在の愛媛県)の国守の次官)を務める男の元に後妻として嫁ぐ。(中略) 伊予介は空蝉を非常に愛していたが、当の空蝉は受領の妻という下の身分に零落したことを恥じており、夫への愛も薄かった。

へぇ、そういう感じの人だったのか。 


小君
空蝉の弟。光に伝書鳩扱いされる。

太郎丸
光に拾われた猫。光とだけ喋ることが出来るらしい。その正体は…

モデルはスーパーキャットだねぇ。


頭中将
モデルはヒューイットらしいが、ロリコンネタは2回くらいしか出て来なかったかな。

夕顔
三位中将の娘で、頭中将の側室と言う立場にあったが、その後市井にまぎれて暮らしていた。光の乳母であった従者藤原惟光の母親の家の隣に住んでおり、乳母の見舞いに来た光に見初められ、関係を結ぶ。光と頭中将は義兄弟だったけど、穴兄弟にもなったんだなと下世話なことを思ったり(*´・ω・)

若紫
世に言う"光源氏計画"という美少女育成物の祖の犠牲者 対象者。モデルはマライヒだが目がエトランジュ。桐壷に瓜二つの藤壺中宮の兄である兵部卿宮の娘(つまりは藤壺の姪)なのでこういう感じになったのかな。

作者が独特な若紫-光源氏の初夜観を述べているが、どうかなぁとも思いつつ。掲載誌の絡みというわけでもないのかな。


紫の上
成長した若紫。黒目は相変わらずエトランジュ。マライヒっぽいところを見せるのは光が明石から帰って来た時くらいかな。戦闘能力はないです(´・ω・`)

右大臣
権力欲に取り憑かれた小者。でもまあそんなに悪者でもない。現実世界もこういう人の方が出世してるんだろうなぁ。

葵の上
左大臣の娘で光源氏の正室。気位の高さや色々な絡みで中々光源氏とは打ち解けず。氷のヴェールは溶けるものの…

この人も不幸と言えば不幸か。まあ色魔に関わった女性は大体不幸になるよね(´・ω・`)


朧月夜
光の政治上の敵である右大臣一派・弘徽殿の女御の妹。なんやかんやで光の毒牙にかかる。

細流(せせらぎ)
錦小路の煮売り屋・渓流堂の娘。源氏物語には居ないキャラ? 1510年頃に成立したとされる源氏物語の注釈書・細流抄の名前に由来してるのかな?


末摘花
原典とは全然違うキャラだったw

源典侍

作品内では数コマで説明されているだけなので、どんな人かとぐぐってみたら…

桐壺帝の朝廷で典侍(内侍所の次官、従四位下相当)として「紅葉賀」に初登場する。源(みなもと)の名字からもわかるように、先祖は皇族に連なる家の出身。琵琶を得意とし、趣味、教養、家柄、能力等、女官として申し分のない女性だが、年に似合わぬ色好みで有名であった。
(中略)
容姿は衰えているもののかつては美しく、破局した恋人の修理大夫に長く執着されており、作中の描写にも上品な有様で華奢な体つきと描写されている。若づくりが激しく、年に釣り合わない言動で貴公子二人を辟易させた。最も有名なエピソードは、意味深な歌(「森の下草老いぬれば~」)を書いた若向きの真っ赤な扇を持ち歩いていた一件。作品内では近江の君と並ぶ「笑われ役」として位置づけられている。

なるほどw


六条御息所
光恋しさで生霊となり、光と懇意になった女性を襲う。Wikipediaの記述によれば、光との出会いの話が欠落しているらしい。そう言えば確かにいきなり出て来たような感じがしないでもない。「あさきゆめみし」だとどうだったかな…("・ω・゙) オボエテイナイ

猿形那須与一兵衛
どう考えても原典にいないキャラw 「アスタロト」シリーズに出て来るサルガタナス。なんとなくナスと那須与一をつなげたんだろうなw
何はともあれ、つよい(・∀・)(小並感)

もう少し登場人物が居るけど、めどいので省略(・∀・)


なんとなく好きなシーンを二つ。

本編ではないけれども、ちょっと演出的に好きなシーン(・∀・)
単純に楽しそうでちょっと気に入ってるシーン(・∀・)

上述の通り、ちょっと期待外れな部分が多かったが、ぼちぼち楽しめたかなぁ?
まあでも続けることが出来るような終わり方なので、「アスタロト」ちっくにバリバリにベールゼブブ達と戦う感じで続編出ないかなぁ?

そう言えば考えてみたらもし続編が出たとしてもフィガロはどちらになるんだろうか(´・ω・`)?

家政夫パタリロ! / 魔夜峰央

家政夫パタリロ!シリーズ

『パタリロ!』のキャラクターを借用し、オリジナルの物語を展開したスピンオフ作品。白泉社の『Silky』に連載された。

バブル経済期に事業に失敗した父が借金(百億円)を残して他界したため、それを返済するべく家政夫として働く主人公・越後屋波多利郎の派遣先でのドタバタギャグを描いたシリーズ作品である。

BOOK☆WALKERでポイント50%バックキャンペーンだかの時に何となく買い揃えた。

このシリーズは各巻に「家政夫パタリロ! (n)」という風にナンバリングしていないから、どれがシリーズかどうか、どういう順番かがわからなくて非常に不親切な感じで今までずっと手に取りにくかったわ(´・ω・`)

出版社側もそんなに売る気がないシリーズなんだろうか。

一応、全5巻で完結。

  1. 家政夫パタリロ!
  2. 奥様はパタリロ!
  3. ビストロ温泉パタリロ!
  4. 出もどり家政夫パタリロ!
  5. 仁義なき家政夫パタリロ!

各巻のタイトルには”パタリロ"とあり、メインキャラクターもパタリロ(正確には波多利郎)ではあるが、本質的に別物と思った方が良い。何話か守銭奴的性格を出すこともあるが、基本的に守銭奴的性格の担い手は相棒であるオカマのおクマさんで、パタリロは基本的に人情味あふれる、仕事に真面目に取り組む少年である。家政夫物なので、パタリロの尋常ならざる銭への執着を残したままだと話が上手く行かないから分離されたんだろうか。

これは俺氏にとって第一の物足りなさになった。"パタリロ"を名乗りながらも、その中身は薄い感じがした(´・ω・`) 

第二の物足りなさは1つの物語の短さ。基本的に話が続くことがない短編集(大枠では続いてはいるが)であり、ほとんどの話が何か何処かで聞いたような見たような話が1つ放り込まれているだけであっという間に大したひねりもなく終わってしまう。「妖怪始末人トラウマ!!」ですら薄味に感じてしまう俺氏には非常に物足りなかった(´・ω・`) まあこれは掲載時のページ数の問題もあるんだろうな。

まあ逆に言えば、ライトなお話をさらっと読みたい層にはいいのかなぁ…?



シリーズ一作目「家政夫パタリロ!」はスタンダード?な家政夫物で、問題を抱える家庭に行った波多利郎が時に真面目に時に悪どく解決し、謝礼を受取り、それを借金返済に回すような感じの話が主。どちらかと言えば人情系メイン。


シリーズ二作目「奥様はパタリロ!」は来日していたアメリカ人実業家・ビンセントの失踪した妻・マシュマロに成り済ましてくれという依頼から始まる。この依頼というか事件は呆気なく終了するのだが、ビンセントの話を聞いた昔の友達から、そんなに似ているのなら会ってみたいとオファーが殺到し(マシュマロはかつてビンセントの通っていた大学のマドンナ的存在であった。)、お金に目が眩んだおクマさんに連れられて一路アメリカへと向かうことになる。途中でオファーが途切れお金がなくなり、美人局やったりメイド喫茶をやったり。主にスパイ系の話が多いかなぁ?

おクマさん。今シリーズで守銭奴キャラを担う。色々と謎が多い人物。元は「パタリロ」本編のオカマバー編?で出ていたキャラかな?

ちなみに「家政夫パタリロ!」に出て来たおクマさんはこんな感じだった。まだ設定が固まっていなかったのかねぇ。


シリーズ3作目「ビストロ温泉パタリロ!」はアメリカでの経験を元にビストロを作って大儲けをしようとするお話。広尾のど真ん中に店を構えるもそこには……

新キャラ・怪奇班第一調査室主席調査官・山坂転太(やまさか ころんだ)を加えた三人で右往左往する妖怪系なお話が多い。



シリーズ4作目「出もどり家政夫パタリロ!」はその名の通り、再び普通の家政夫物……と言いたいところであるが、やや過去3シリーズのごった煮のような感じかな。最初の方に出て来た"ギフト"の話は何処へ行ってしまったのだろうか…(´・ω・`)ミホチャンアンケンカ

画像は口うるさいアラファト家政婦派遣協会の番頭。ドケチ。



シリーズ最終作「仁義なき家政夫パタリロ!」は、アラファト家政婦派遣協会に対抗する新しい家政婦派遣会社・CHMとの仁義なき戦いのお話。一応最後の方は連続物っぽくなってそれなりに盛り上がって終わる(・∀・)ボチボチデンナ

画像はアラファト家政婦派遣協会会長・荒川歩安太郎(あらかわ ふあんたろう)
戦中、波多利郎の祖父・越後屋平八郎に命を助けられたことを恩に感じていて、百億の借金を抱え、途方に暮れていた波多利郎を預かった。


まあ、魔夜峰央が好きで、薄味というかあっさりめのものでも良いから読みたいって人向けかなぁ(・∀・)

『ソーセージパーティ』を観た

ソーセージ・パーティー

食材たちは選ばれ、買われることを夢見て毎日陳列されている。きっと外の世界は「楽園」に違いないと。ソーセージのフランクは、パンで恋人のブレンダと結ばれ(合体♥し)ホットドッグになる運命だと信じている。ついに夢が叶う日が! 二人揃ってお客様がカートに! しかしテンションMAXではしゃぐ二人を乗せたカートにアクシデントが発生し、スーパーマーケットに取り残されてしまう。夢に破れ絶望するフランクとブレンダだが、実は命拾いしたことに気付く…なぜなら彼らは“食材”だからだ。「食われてタマるか!」 運命に逆う彼らの闘いがはじまる!

GooglePlayでレンタル200円だった時に観たった。
まあボチボチ楽しめた(・∀・)

全力で否定されてしまうかもしれないが、作品の体裁というか形式はズートピアと似てる気がするw 食べ物達に命を吹き込み、見た目が楽しい、面白い、色んな意味でおかしい作品に仕立て上げてるが、その中身は作成者の人類や世界の存在、宗教の捉え方や本当の意味での世界観が詰め込まれている風に思えてまあまあ面白かった。まあ或る程度人生を過ごし、その手のことを考えた人間にとってはそれほどの目新しさはないことなんだけれども、それをこういう形の作品に昇華させたところは評価したいw

下品な言葉や終盤の行為絡みでR15+指定を受けたようだけれども、終盤のカール絡みのシーンやレズビアンネタや中東ネタも際どいと言えば際どい気がするw レズ・中東ネタは比較的好意的というか肯定的な結果に終わってはいた。そういえばフランクとかって名前が一応あるのに、なんでフランクを付け狙う敵役の名前は「膣洗浄器」そのままなんだろうかw ダビデとかビデルとか適当に名前をつけてやっても良かったのはなかろうか( ・´ω・`) まあダビデだと中東ネタとかとかぶっちゃうか…

声優には有名所の俳優を起用していたようだが、日本語吹き替え版を観たのでその辺のことはよくわからない(ノ∀`)
カールの声をやってたジョナ・ヒルって「マネーボール」のピーターか(・∀・)


主人公のフランクが真実の書とも言えるべき本を入手する流れが結構好きw ステレオタイプな展開なんだけど、そこが面白いw

真実を公開した後の展開はガンツとか進撃の巨人のような人間が餌だったり虐殺される側であるストーリーの反撃展開を思い起こしながら観ていると、何とも奇妙な思いに囚われ、自分の中の人間のエゴを感じられて良いw

一番ラストのメタ展開は蛇足とも思わないこともないが、神とは言わねども、人類にとってより上の次元は存在するのだろうか、そしてそれは人類に理解出来るものだろうかという、ある種の好奇心を刺激してる感じがして悪くはない。

まあしかし色々考慮すると、お下品ネタはともかくも、あんまり若い子達には見せない方がいいのかもなぁと思う作品だった(・∀・)

堕靡泥の星 / 佐藤まさあき

堕靡泥の星

風雨激しく雷鳴轟く或る夜、由緒正しき資産家・神納家に招かれざる客が一人訪れた。脱獄囚の蜷川源平である。包丁を携えた蜷川は神納家現当主である神納康久とその妻・とき江に衣服と金を要求する。大人しく要求に従った二人だったが、蜷川は行き掛けの駄賃とばかりに美しきとき江に襲いかかった。

時が経ち、神納家に一人の赤ん坊が産まれた。この物語の主人公・神納達也である。何も知らず、すくすくと育つ達也とは裏腹に神納夫妻の仲は時が経つほどに壊れていった。検査の結果、達也が自らの子供ではないと知った康久は妻や達也に対する精神的肉体的虐待を繰り返すようになった。その仕打ちに耐えられなくなったとき江は或る日達也と遊園地に行き、玩具を買い与えた後、自害した。

更に十年の時が経った。達也は15才になった。大学教授という職業柄、そして名家の跡取りとして康久は対外的には良き父を装っていたが、その実、達也への冷たい仕打ちは続いていた。

或る日、達也はナチスのアウシュヴィッツ強制収容所について書かれた本「夜と霧」を手にした。「達也はそのすさまじい残虐な殺戮の記録を読むうちにおのれの内部にたぎるどす黒い血の騒ぎをおぼえた」。

一方、蜷川は未だ捕まらず、婦女暴行殺人を繰り返していた。居間のテレビでその報を観ていた達也に気づいた康久は、尋常ならざる勢いで達也を張り飛ばし、部屋の外へと追い出そうとする。余りにも唐突な仕打ちに日頃の恨みつらみも合わせて激昂した達也は食い下がった。そして口論の末に達也は自分が蜷川の子であることを知ってしまう。

達也の中で何かが壊れた。

全19巻。一冊55円の時に買ったので全部で1,045円だった(・∀・)
冒頭のあらすじを書こうと思って改めて最初の方を読み直してみたけど、
結構雑な展開だな、おい(・∀・)

なんかもうちょっと心理描写的なものがあっても良さそうなんだけども、端折りすぎなような気がするw 文字に起こしてみると長い感じになったが、ページ数にして69ページ、アウシュヴィッツや蜷川の連続婦女暴行のシーン等を除くと、大体32ページくらいだからしょうがないか。

えーとまぁ、内容について簡単に言ってしまうと全編的に拉致→監禁→強姦→殺人か強姦→殺人か監禁→強姦かゆきずりの強姦が基本的な話の流れです(´・ω・`) 時折「影男」ばりのカーアクションや銃撃戦、格闘があったりするけど。あと達也が常に強者の立場じゃなくて窮地に追い込まれる話もあったりして、読者を飽きさせないようにさせたりもしている。

まあ何にしてもメインの流れはそういう感じなんで読む人を選ぶ。一応同じピカレスクロマンのジャンルに類別されるであろう「美悪の華」などとは一線を画し、ひたすらに犯罪系な感じ。しかも昭和的な。「殺人全書」とか猟奇事件とかが好きな人向けですねぇ…

よくこんな漫画が連載出来たものだと思うw 
昨今のエロ漫画雑誌にも鬼畜系漫画はあるにはあるけども、あれは歪んだ嗜好であるにせよ、性的にヌかせる為の漫画でちょっと違う。こちらは異常な内容と言えどもヌき用漫画ではなく一般的なストーリー漫画であった。まあ掲載誌と言う観点では"漫画専門誌というよりも、漫画を柱としてヌードグラビアや記事を掲載した雑誌であり、「低俗週刊誌」と呼ばれ"た漫画天国という雑誌だったから、似たようなもんと言えば似たようなもんだけどもw

wikipediaの堕靡泥の星の項目には、

本作は、アウシュビッツ展に展示されているユダヤ人虐殺写真の残酷さに胸が潰れる思いをしながらも、自分の中のサディズムの血が燃え始めたのを感じ取った作者が、「人間が人間を物のように扱える戦争の狂気、そして勝者の権力というものへの憧れ」に心が疼き、そこから執筆したという。また、当時は強姦願望があり、その思いを作品にぶつけたと告白している。

とあるが、まさしくそんな感じの内容であった。ナチス以外に南京大虐殺というか三光作戦やらキリシタン弾圧の話を絡めた回もあった。作品内で色々と持論的なモノを展開しているが、内容的に深いかと言われるとそうでもないような気がしないでもないw

ちなみに「堕靡泥の星」は19巻で終了しているが、続編の「新・堕靡泥の星」があるらしい。こっちはなんかちょっと変な感じらしい。影男が出て来るとかどうとか。いつか読んでみたい。 読んだ新・堕靡泥の星 / 佐藤 まさあき



神納 達也
主人公。連続婦女暴行殺人犯・蜷川源平と神納とき江の子。悪魔のような男ではあるが、そういった人間となる原因は蜷川のDNAというよりも、母・とき江の自死と父である康久の酷い仕打ちを受けて育ったことだと思わなくもない。まあ物語上では蜷川のDNAを強調してる感じは受けるが。女性を陵辱し支配することに重きを置いているところが現実の猟奇殺人犯や強姦犯達と非常に似通っている。或る意味でリアルか。そう言えばトロフィーを持たぬタイプだったな。



蜷川 源平
達也の生物学上での父。こいつが全ての元凶と言えば元凶か。wikipediaだと名前が何故か蛭川源平になっているような気がする。


神納 康久
達也の父。名家である神納家の現当主であり、大学教授。被害者であり加害者。達也を凶悪な悪魔に育て上げたのはこいつだよなぁ(´・ω・`)


神納 とき江
達也の母。ひたすらに不幸だった人。津和野編で後付設定話が出て来るが、あれは必要だったのであろうか。


加納 由美子
康久の友人である大学教授の娘。登場当初は汚れを知らない初なねんねで達也を慕っていたが…


田代 千春
達也の遠縁の女性。親戚一同が神納家の財産を狙って達也と結婚させようと画策し近付けた。達也とは関係ないところで不幸な目に遭う。達也のことを心から思いやった心優しき人であった。


友人
中学・高校・大学まで一緒だった友人。名前があるかもしれないが調べるのが面倒なのでこれでw 大学のシーンと達也というか佐藤まさあきの持論を話させる為の一般人キャラ。大学卒業後は出て来なかったような…


他にも登場人物は沢山居るが、その多くは被害者であり故人が多いので端折る(´・ω・`)
以下はストーリーの一部で問題なさそうなシーンや思わず読んでいて突っ込みたくなったシーンとかを適当に。

もう完全におかしくなってる(´・ω・`)

親戚たちもクズどもばかり。悪逆非道な達也なんだけど、達也が他の悪い奴等によって窮地に立たされると、達也を応援したくなってしまうのはなぜなんだぜ(´・ω・`)?

いやいや、お前はもうそういうレベルの人間じゃないから(´・ω・`)
(※ちちくびは自粛しました(*´・ω・))

言ってることがよくわからない(´・ω・`) つーか自分の標的じゃないと優しくなるところがちょっと変だと思う。

やかましいわヽ(`Д´)ノ

17巻~18巻の淫殺行編で出て来るアメリカの頭のイカれた連中。

そのボスのラルソン。ちなみに17巻~18巻はこいつらに対する復讐がメインの為、ちょっと影男というかアクションシーン多めの内容になっていて16巻までの流れとは異なる。作品内でも3年が経過しているんだったかな?


佐藤まさあきでぐぐると色々とイカれてる逸話がヒットして、中々興味深いw
女性キャラが描けなくてアシスタント達に一任していたが、そのことにより力関係が逆転してしまったというのが特に面白かったw そのアシスタントは松森正という人らしいのだが、知らない名前だったのでぐぐってみたら、「湯けむりスナイパー」の人だった(ノ∀`)

佐藤まさあき
貸し本漫画劇画の時代⑤ 佐藤まさあき氏の悲劇篇-2
「劇画の星」をめざして CC

1998年10月に「『堕靡泥の星』の遺書」という自伝を出したそうだが、その内容が酷いw 佐藤まさあきが交際してきた女性の実名と写真が載っていたらしい。 さすがにそれはまずかったらしく、その辺をマイルドにした改定本「プレイボーイ千人斬り」を改めて出したらしい。 で、まぁその本についてのamazonのレビューを読むと

ガールハント目的で文通の会の広告を雑誌に出して、会員申し込みの同封写真の中から可愛い女の子は自分が拾い、他は男の会員に回すという一種の犯罪まがいのことから、アシスタントを募集してその中からヤリたい女を選んで採用、誘惑しても見向きもしない女は辞めさせ、ヤラせる女をはべらかしてハーレムにしたことも告白している。 プレイボーイ千人斬り | 佐藤 まさあき |本 | 通販 | Amazon

腐れ外道じゃねぇか(・∀・)

自伝を読んでみたいがプレミアついてるみたいだしなぁ……図書館とかで探すべきか。
→ 読んだ。 『堕靡泥の星』の遺書―さらば愛しき女たち / 佐藤まさあき


まあ何はともあれ、昭和的な、猟奇的な、イカれた漫画が好きな人なら読んでもいいのかもしれない。でも良い子は読んじゃ駄目だよ(・∀・)

このエントリを書くのになんかむっちゃ疲れた…(ヽ'ω`)