※リンク先が結構死んでた(´・ω・`)
死体の犯罪心理学 上野正彦
久しぶりにこの手の本を読んだ。元監察医の著者が精神分析系ではなく法医学の観点で
様々な殺人事件を読み解いた一冊。具体的には遺体から遺体の処理方法、殺害方法、
犯人と被害者との関係や犯人の心理状況を類推した内容。
紹介文には
社会を揺るがせた一連の事件を、犯罪心理学と法医学の両面から深層をさぐり、社会的背景、さらには人間の本質に迫る。
とあるが、"犯罪心理学"部分については他の大学の教授のコメントを引用して補完・考察
している章が多いのでやや盛りすぎな表現のような気がしないでもないw
"犯罪心理学"的考察を試みているが今ひとつずれてるような気がする。
なんというか非常に常識人的過ぎるというか普通の人っぽい考察。
とは言え、法医学の観点からの考察は新鮮で興味深い。この系統は「法医学教室の午後」
(西丸與一)を読んだことがあるけど、あれも面白かった記憶がある(・∀・)
報道で真犯人とは全く異なる犯人像予想がされてたりしていたが、その内の数件はこの人の
ものだったのかw 正直に的外れだったこと告白しているところは嘘臭くなくていいw
扱ってる事件は全部で12件。大体5~13年前くらいのものかな。
中央大学教授刺殺事件
かつての教え子に大学教授が殺害された事件。
母親に溺愛され所有物化された子供だったのかな?
生活反応についての説明があった。
新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件
この事件は拘置所に親がDVの本を何冊も差し入れしていたというような報道があって
その時点で怪しさいっぱいの加害者だったな。入れ知恵した奴が居るんだろうか。
加害者・被害者の生育過程等について触れていて興味深い内容(・∀・)
体育会系バリバリの父親は脱サラしてバブル前に起業。相当なワンマンオラオラ系だったらしく、家庭内でも独善的かつ暴力的な存在で娘の歌織に体罰を度々幼い時から繰り返していたようです。
(略)
大学4年辺りから都内の老舗ソープランドでソープ嬢として働き始めます。
渋谷エリートバラバラ殺人タガメ女の心の闇を分析してみた その1
殺害方法に関する説明があった。
結婚詐欺・埼玉連続不審死事件
「平成6年、愛人契約やデートクラブでセックスでお金を稼ぐようになりました。月に150万円くらいです」
ついに事件を語る、自信満々の木嶋被告 ピアノは「上手」 結婚「もう少し待って」 上品な声で+(2/5ページ)
付き合っていた男の指示で中学時代の事件と同じ家から貯金通帳と印鑑を盗み出して金を引き出したようです。高校卒業後、この事件のために家庭裁判所で保護観察処分を受けています。本人の証言によれば父親が7~800万円を弁償したそうです。
(略)
木嶋佳苗の家は周りからは、仲の良い理想的な家庭のように思われていたようですが、両親の不和は木嶋佳苗が小学校高学年の頃から始まっていたようです。
(略)
木嶋佳苗は母親との軋轢をかかえていたようですが、妹や弟たちは木嶋佳苗を慕っていたようです。
妄想のセレブ 木嶋佳苗
早熟な性的発達に加えて母親との軋轢、名家の生まれとそれと見合わない外見によって
歪んだ心を持った被告はさまざまな男性遍歴を経た後、父親の交通事故死を引き金に、
ただの詐欺師から連続殺人犯へと変わっていったんかね(´・ω・`)
父親への愛着がどういったものだったんだろうねぇ。
内窒息、外窒息、血液の色に関する説明があった。
江東区マンション神隠し殺人事件
この男も親との確執を抱えていた。
星島被告は、ごく普通の家庭に生まれたが、1歳11カ月の時に熱湯の入った浴槽に落ちて両足に大きなやけどを負った。やけどのあとが残ったことで、小学生のころから継続的にいじめに遭った。しかし、両親に相談に乗ってもらえなかったと感じ、やけどを負ったのは両親のせいだと恨みを募らせ、やがて殺害したいと思うまでに両親を憎むようになっていった。
江東バラバラ殺人事件(星島貴徳被告) 2009/02/18 東京地裁判決要旨
だからといって星島被告が劣悪な環境の中で育ったとまではいえないし、なぜ見ず知らずの者に対して、このような犯行に及んだかは十分に説明されていない。
後半部分はともかくも、前半部分に関しては判決文を書いた人間は
何もわかってないんじゃないかと思った(´・ω・`)
人間という生き物にとっては身体機能・外見もまた環境であることを。
在宅指紋、保身の心理に関する説明があった。
秋田児童連続殺害事件
元ソースまでは詳しくは見てないけど、やっぱり父親の虐待があったようだ。
橋の上の「殺意」―畠山鈴香はどう裁かれたか ← 本のタイトル
畠山鈴香の心・2
水に沈まない溺死に関する説明があった。
京都腐敗水注入事件
この事件はwikipediaに項目がない?
殺人ではなく傷害致死事件だからかな。生い立ちがわからないねぇ。
代理ミュンヒハウゼン症候群の人間の生育過程にも特徴はあるのだろうか?
ある程度の共通点はありそうだけれども、あんまり日本での事例がない(或いは
発覚してない)からか定説はなさそう。
代理ミュンヒハウゼン症候群の説明も出てくるが法医学的なものとしては
血管内への異物の注入に関する説明があった。
自殺サイト殺人事件
前上博の父親は白バイ隊員だったらしい。
1年以上にわたって行われた精神鑑定によると、被告人は両親、特に元警察官である父親からは独自の逮捕武術から派生した窒息によるリンチ・虐待を受けており、これが被告の言う「4つの性癖(白色スクールソックス、窒息、唯一効力のある「精神安定剤」が他人をいたぶることであること、そのことを苦にしたことで生じた自殺願望)」の根本となっていた。
この章は法医学の話はほとんど無く、化学的去勢の提言の後、
自殺サイトに関する話から"集団心理の行き着く先にあった悲惨な戦争"という話となり、
男性はそもそも社会性が高いために、周囲に流されやすい生き物だといえよう。
(略)
その点、組織の論理に染まっていない分だけ、女性はもっと自分の気持ちに正直だ。
(略)
この先、日本が危うい方向へ向かいそうになったら、世の女性たちには、ぜひ声を上げて反対してほしい。
という極めて謎な論理展開をしているw
大阪姉妹殺害事件
この事件てなんだったっけと思ったが、山口母親殺害事件の犯人が再犯したやつかΣ(゚∀゚;)
山地悠紀夫も大本には父親の虐待が存在しているようだ。
この事件の犯人となった少年の父親は様々な職を渡り歩いていたが、酒癖が悪くしばしば妻や少年に対し暴力を振るっていた。1995年1月に父親は肝硬変で死亡したが、その後は少年は母親と2人暮らしであった。
母親の方もかなりおかしい人間だったのか多額の借金があったらしい。
また母親には再婚話があり、同僚に対し「僕は邪魔者だから家を出る」とも話していた。
という感じで見捨てられ不安的なものも見受けられる状況だったのか?
加えて父親の通夜での母親の一言が後に母親へ敵意を向けるようになったらしい。
そんな中、2000年7月29日午後9時ごろ、少年と母親は口論となる。きっかけは少年が交際したいと考えていた女性の携帯電話に、母親が無言電話をかけたためであった。そのことを母親に少年は問いただしたが認めず、母親が少年に対し「出て行け」などと言ったことに腹を立て、借金の事も絡んで口論となり暴行を加えた。
母親を殺害したところまでは不謹慎ながらも取り敢えず良いというか納得するとしても、
その後の大阪姉妹殺害事件は酷い話だ(´・ω・`) 他の犯人達もそうだが、どんな境遇で
育ったとしても、それに由来する負の行動を自分を害して来た者以外の他者に与えて
はならない。それを行った瞬間に情状酌量すべき理由は雲散霧消してしまう。
負の連鎖を自ら担ってしまったわけだから。
母親の殺人時に射精していたというが、これは今までの恨みを晴らすという
興奮(快感?)状態からのものなのかなと思うけど、快楽殺人者とかはこれが
殺人と癒着というか固着しちゃうから連続殺人し続けるのかな。
前上博の”白いもの”に対しての執着もそういうメカニズムなのかな。
殺人全書だったか何か忘れたが覗き趣味の話を思い出した。
山地と前上はもう死刑執行済みなんだな。
大宮看護師バラバラ殺人事件
これも項目がないかな。2001年の古い事件だからか。
まあ三角関係で揉めてた親友を殺してバラバラにしちゃった看護婦さんの事件。
殺すことはないだろうと思いつつも被害者も被害者だな。
肝心の男は今は何してるんだろうな。のほほんと別の女性と幸せな家庭を築いていたら
ちょっといやだな(´・ω・`) いや、いいんだけどねw
解体に関する話が少々。
渋谷区短大生切断遺体事件
これは肉体的な虐待はなかったけど、牽強付会の謗りを免れないかもしれないが、
歯医者になることを義務付ける精神的虐待や親からの支配があったんじゃないかな。
直接的なつながりはないけども、被害者の妹は女優を目指していたということから
平塚5遺体事件の被害者(娘)を思い出した。彼女も劇団か何か入っていたなぁ。
性器の切り取りは他の事件でもあったような気がする。阿部定みたいなやつじゃないので。
殺人全書に載っているような古い事件だったかな?
愛知バラバラ殺人事件(戦後の主なバラバラ殺人事件)だったかな?
でも犯人はもっと違うタイプだったような…まあいいか(´・ω・`)
加古川小二女児殺害事件
この事件はなんなんだろうな。未だに犯人が捕まってないと言うし。
著者の言う通り、狙いがピンポイント過ぎるような気がするし。
自宅前で殺されるなんてねぇ(´・ω・`)
失血死に関する説明があった。
島根女子大生死体遺棄事件
この事件も未解決か。顔見知りかストーカーかどうかわからないけど、
少なからず一方的に愛情を寄せていた人間が犯人じゃないのかね。
二日後にバイトを辞める予定だったみたいだし。
↓
被疑者と被害者との間に接点は無かった
バラバラにしたのも著者の言う保身の心理故だと思う。
日本でのバラバラ殺人って大抵は遺体の隠滅が目的な気がする。
猟奇殺人としてのバラバラ殺人は少ないんじゃないかな。
これがもし猟奇殺人というか快楽殺人なら、もう少し連続的に
事件が起きてもいい気がする。
これとは関係はなさそうな気がするけど、2012年9月に柏木佐知子さん失踪事件が
起きてるのか。うーむ(´・ω・`)
※2016/04/15追記
どうも下の件は2015/8頃に死体が発見されて、事故死だった模様。
上記の件は
2016年
12月20日 - 島根・広島両県警合同捜査本部は、遺体が見つかった2日後の2009年11月8日に山口県内の高速道路で事故死した当時30代の会社員の男が本事件に関わった疑いが強いとみて、被疑者死亡のまま松江地方検察庁へ書類送検した。
とのこと。
って、いつの間にかに本の感想じゃなくて殺人事件の感想を書いてたΣ(゚∀゚;)
しかしまぁ、この手の話は時間泥棒だな… (ヽ'ω`)
まあ何はともあれ、著者の言う監察医制度の拡大はした方がいいよね。
どんな形でもいいから。
※2017/11/07
最近、座間の事件関連でアクセスが増えているので追記。
当初、あの事件を聞いた時は聞いた時は余りにも奇異に感じたけれども、
母親との別離等々、家庭は必ずしも外部が見た印象通りでもないことを踏まえると
それほど特別なケースではないのかもしれない。
風俗の女性スカウトに就き、その対応の酷さ的なものが伝えられてきているので---それが真実であるかはともかくも、それを信じるのであれば---、女性への憎悪、軽視(これもまた母親との関係に起因する?)が加害者に存在したのではないかとも考えられる。そこで希死念慮を持つ女性につけいった犯行?
一応、本書よりも古く、以前からバラバラ殺人は猟奇殺人というよりも、死体の処理に困っての犯行であることを指摘しているのが俺氏のバイブルとも言える本『殺人全書』。
興味のある人は『殺人全書』を手に取ってもらえれば、是か非かはともかくも、その興味を或る程度は満たせると思う。これ以上になると『快楽殺人の心理』、それ以上になると人格障害関連の本を読むと良いのかな。
うちのサイトで関連するエントリ・カテゴリは
https://mole-kingdom.com/wpbl/2009/03/24/1450.html
https://mole-kingdom.com/wpbl/category/%e5%bf%83%e7%90%86%e5%ad%a6%e7%b2%be%e7%a5%9e%e5%88%86%e6%9e%90
くらいかな。
いつかはちゃんとまとめたい(´・ω・`)