カテゴリー: 本・雑誌等

ICO-霧の城- / 宮部みゆき

僕が君を守ってあげる。だから手を離さないで。

霧の城が呼んでいる、時が来た、生贄を捧げよ、と。イコはトクサ村に何十年かに1人生まれる角の生えたニエの子。その角を持つ者は「生贄(ニエ)の刻(とき)」が来たら、霧の城へ行き、城の一部となり永遠の命を与えられるという。親友トトによって特別な御印(みしるし)を得たイコは「必ず戻ってくる」と誓い、村を出立するが――。

特に読む予定もなかったのだが、BOOKOFFで他の本を探してる時につい目に入ってしまったので(ノ∀`) 上下巻x110=220円で購入…だったかな?

歳を取ってからは映画原作とかでもない限り、小説の類はほぼほぼ読まなくなっていたので、この本が初めて読む宮部みゆき作品となった。

取り敢えず言えることは、
「よくあの雰囲気ゲーからここまで内容を構築したな(・∀・)」といった感じ。

内容的には問題ないというか、そこそこ楽しめたのだが、原作(?)と言えるゲームの『ICO』が、そこまで深くストーリーや設定が練られて作られたわけではないということを既に知っていて、「これって公認同人小説だよね(´・ω・`)」という若干距離をおいた気持ちで読み進んでしまった為、そして何より、
それほど『ICO』にはまっていたわけではないので、没入感は弱めの読書体験になってしまった(ノ∀`)

前半のトトとか中盤のオズマとヨルダの辺りは中々緊迫感とかあって良かったのだけれども…


"ニエ"の設定についてああいう風にしちゃったから、最後、
「え、このまま村に帰っても色々と問題あるよね(´・ω・`)? 村に凱旋してハッピーエンドってことはないよなぁ…都の連中が黙ってないだろうし……ヨルダと砂浜で西瓜を食べて二人で生きてくしかないよなぁ…でもトトにも継母にも会えないのはなぁ……」と思った。


なにはともあれ、
一番印象に残っているシーンは、玉座に座る女王が光の剣で貫かれ、その首が上方に飛んで行って最後爆発するところです(・∀・) ←こいつ、実はちゃんと読んでないんじゃねぇか疑惑( ・´ω・`)

吾輩は猫である / 夏目漱石 他

もっと溜まってからにするかと思ったが、そんなに最近小説を読んでいないし、中島敦とかの短編は読んだけど、内容を忘れてしまったので、これだけでエントリ化する。下書き状態で残ってるエントリは邪魔なのでw


吾輩は猫である 夏目漱石

言わずと知れた、明治の文豪である夏目漱石の著した猫視点の長編小説。

学生の頃から何度か手に取り、「お、こんな読みやすい文体で面白いのか(・∀・)」と第一章を読み終えた後、何故かそのまま放置して忘れてしまうということをその度ごとに繰り返していたが為に読了をなし得なかった作品を遂に読み終えた(`・ω・´)

結論から言うと、読みやすくて面白いのは第二章くらいまでなんじゃないかという身も蓋もない感想にw (更に言うと、一章は高浜虚子が添削しているということなので、純粋に夏目漱石の文章が読みやすかったというわけでもないのかもしれない(ノ∀`))

後の章は猫仲間達が全く出て来なくなって、猫視点というか、それを借りた夏目漱石の意見や、苦沙弥先生に対する金田とかの嫌がらせや落雲館の生徒とのいざこざやらの羅列になり、次第に飽きてしまった(ノ∀`)

まあ吾輩の餅騒動、鼠取り騒動、日頃の運動などの部分や迷亭や寒月とのやり取りは面白かったけどね。 "自覚心"の話とかも。

漱石はそれほどこの作品に力を入れていたわけではないようで、凄く適当に吾輩は溺死してしまう…(´・ω・`)ネタバレダケド


武蔵野 国木田独歩

うーん(´・ω・`)

正直よくわからないと言うべきか…
まあ、国木田独歩が愛する武蔵野を散策した日記だったり、外国人作家の作品を引用して、「似てる(・∀・)」とか「良いよね(・∀・)」とか言っているだけのように感じたw

土地鑑があったり、草木への造詣が深い人ならば、より良き楽しみ方も出来るんだろうなぁと思いました(・∀・)(小並感)


寒山拾得 芥川龍之介

これまたさっぱりわからない(・∀・)

まあ、エッセイなのかな?
取り敢えず、この頃、夏目漱石は『夢十夜』を書いていたんかなぁ程度の感想w

寒山拾得自体は

中国,唐の伝説上の2人の詩僧。天台山国清寺の豊干禅師の弟子。拾得は豊干に拾い養われたので拾得と称した。寒山は国清寺近くの寒山の洞窟に住み,そのため寒山と称したといい,樺皮を冠とし大きな木靴をはき,国清寺に往還して拾得と交わり,彼が食事係であったので残飯をもらい受けていた。ともに世俗を超越した奇行が多く,また多くの詩を作ったという。しかし,これらの事績はすべて,天台山の木石に書き散らした彼らの詩を集めたとされる『寒山詩集』に付せられた閭丘胤 (りょきゅういん) 名の序,および五代の杜光庭の『仙伝拾遺』に記された伝説に発するもので,寒山,拾得の実在そのものを含めて真偽のほどは確かめがたい。

という存在らしい。

なんか奇行とかの部分に注目すると、何らかの障害を持っていたり精神的な病に罹っていた人間が一番下の受け皿として機能していた寺に保護(?)されていただけのようにも思えたがどうだろうか?

森鴎外の『寒山拾得』も、いつか機会があったら読んでみるかな。


こういうのをもっと楽にできないのだろうか(´・ω・`)?jQueryを用いた埋め込みデータ表示とかでやりたかったことの一つはこんな感じ。

ルビ自体も消して情報表示の方で表示するようにしてもいいのかもしれない。
全然関係ないが、青空文庫のデータって<rb>とか<rp>が入ってるけど、<ruby>タグに対応してないブラウザってまだあるんだろうか?

disp
吾輩は近頃運動を始めた。猫の癖に運動なんていた風だと一概に冷罵れいばし去る手合てあいにちょっと申し聞けるが、そうう人間だってつい近年までは運動の何者たるを解せずに、食って寝るのを天職のように心得ていたではないか。無事是貴人ぶじこれきにんとかとなえて、懐手ふところでをして座布団ざぶとんから腐れかかった尻を離さざるをもって旦那の名誉と脂下やにさがって暮したのは覚えているはずだ。運動をしろの、牛乳を飲めの冷水を浴びろの、海の中へ飛び込めの、夏になったら山の中へこもって当分霞を食くらえのとくだらぬ注文を連発するようになったのは、西洋から神国へ伝染しした輓近ばんきんの病気で、やはりペスト、肺病、神経衰弱の一族と心得ていいくらいだ。もっとも吾輩は去年生れたばかりで、当年とって一歳だから人間がこんな病気にかかり出した当時の有様は記憶に存しておらん、のみならずそのみぎりは浮世の風中かざなかにふわついておらなかったに相違ないが、猫の一年は人間の十年にけ合うと云ってもよろしい。吾等の寿命は人間より二倍も三倍も短いにかかわらず、その短日月の間に猫一疋の発達は十分つかまつるところをもって推論すると、人間の年月と猫の星霜せいそうを同じ割合に打算するのははなはだしき誤謬ごびゅうである。

青空文庫 吾輩は猫である








クワイエットルームにようこそ / 松尾スズキ

別段、映画版を凄く気に入って読もうと思ったわけではなく、ブックオフで『時をかける少女』を買った時にたまたまあったので110円で購入した。131ページくらい。

映画よりも良い出来という言い方はおかしいが、こちらの方が好きかな。
映画の方も松尾スズキ本人が脚本と監督をしているので、内容はほぼ同じであるはずなのだけれども。

何とも言えない悲哀感は原作の方があったかなぁ…(´・ω・`)

序盤は書き始めのせいか、はたまた明日香の意識が混濁しているのを表しているのか、非常に読みづらく苦痛だった(ヽ'ω`)


映画だと水原さんと輪島愛が居ないのかな。
水原さんはどうでもいいキャラだが、輪島愛はキャラが分割されて、ピアニスト要素が玉木サエに、そういう理由で居続けたのかどうかはわからないが、居続けた理由がミキに移譲されていたような気がする。


非常に短い作品なので、余り語ることがない(ノ∀`)
まあでも、またいつか映画を見直してみようかなという気にはなったw

時をかける少女 / 筒井康隆

ここ最近、通常放映と追悼放映で『時をかける少女』を目にする機会があり、「そう言えば原作読んだことないのぅ…(´・ω・`)」と思い、BOOKOFFで110円で購入。

収録作品は表題作の『時をかける少女』、『悪夢の真相』、『果てしなき多元宇宙』。解説込みで238ページ。

この短編集の収録作品の内訳(?)は、

「中三コース」1965年11月号~「高一コース」1966年5月号に連載された中篇「時をかける少女」は、筒井作品で最も有名な作品といえばこれ、というくらい有名な作品で、何度も映像化されている。「悪夢の真相」は「中二コース」1964年9月号~12月号に連載された短篇。「果てしなき多元宇宙」はこの単行本のための書き下ろし短篇。
筒井康隆たぶん全部 1960年代

ということらしい。

中高生向けの作品であったが為か、非常に平易な文章で、いい歳したおっさんが読むには若干物足りない筆致であった。

また同時に50年以上前の作品であるが故、正確には筒井康隆の影響を受けたであろう筒井康隆チルドレン、グランドサン、グランドドーター達の作品群を俺氏が読んだり観たりしているが故、全体的に現代では陳腐な感じがしてしまった(´・ω・`)ツマラナイワケデハナイガ


時をかける少女

原作は110ページ弱の短編なので、あんまり特筆すべきことはない(´・ω・`)
映画との違いを書き出そうと思ったが、それもそんなにないかな? ←正確には映画の内容をあんまり覚えていない(ノ∀`)

映画との違い
  • 浅倉吾朗と幼馴染ではない。
  • それ故に「吾朗ちゃん」ではなく「朝倉さん」呼び。深町も同様に「深町さん」。
  • 吾朗ちゃんの家は醤油蔵ではなく、荒物屋。
  • つーか、吾朗ちゃんは映画よりもモブに近い脇役。
  • タイム・リープするのは「暴走トラックに轢かれそうになった時」と「福島先生の引っ掛け 及び その後の部屋への帰還時」。
  • 立花尚子(担任)が居なかったり、弓道部設定はない。
  • 深町一夫というかケン・ソゴルは、何か凄い目的の為にこの時代に来たのではなく、瞬間移動+時間跳躍の実験をしていて、うっかり帰還時用の薬を持たずにタイム・リープしてしまった(ノ∀`)
  • ケン・ソゴルは睡眠教育を受けた11歳児。
  • 物語の最後に芳山くんが起き出して歌を歌ったりしない(´・ω・`)

映画版との違いを列挙していてふと思ったが、現代だと男女のポジションを逆にしたやつを作ってもそれなりに支持されそうな気がしないでもない。

エロ漫画とかでもいけそうだよね。年齢の部分を踏まえると「lo」とかに載る感じだろうか…(*´・ω・)


悪夢の真相


怖がりな弟・芳夫を持つ昌子が、腐れ縁の森本文一と共に自らに潜む恐怖の謎を解き明かすミステリー(?)っぽい、70ページ強の短編。

大まかなオチは途中で判ってしまうのだけれども、まあまあ面白かった。
内容的にも悪くなかったが、それ以上に国語の教科書に載るような、スッキリとした話の構成というか、ラストの文学っぽさが良かったかな(・∀・)

「中二コース」に掲載されていたらしいけれども、まさしくもって中高生向けの作品であった。


果てしなき多元宇宙


現実世界に不満というか嫌悪すべきことがある暢子のぶこが、他次元で起きたヴェラトロンの大爆発事故によって他の世界の同時存在と入れ替わってしまう話。40ページ弱の超短編。

うーん、これはちょっと…(・∀・)

つまらなくはないけれども、現代の人間が読むと
「なんじゃこれ、この短編集を出すための書き下ろしだからって、筒井康隆、手を抜きすぎだろヽ(Д´)ノ」</span>
って思ってしまうくらいに在り来たりの作品に思えてしまうかもしれない(ノ∀
)

そのくらい他の作品で読んだり観たりしたことのある展開w


つまらないってことはないけれども、中高生向けに書かれた古典レベルの作品群なので、特にお薦めはしないかなぁ(・∀・)?

『時をかける少女』が大好きだったり、原作と映画の違い、つまりは映画化した人々の工夫や手法・改変を知ることが好きな人なら読んでもいいのかも知れないが。