カテゴリー: 映画

『風花』を観た

風花(1959)

信濃川の流れが山々の間を通り抜けると信州善光寺平である。県道に添った名倉家で結婚式が行われ、花嫁のさくら、祖母トミ、兄夫婦はやがて車に分乗して出発していった。見送っていた春子は息子の捨雄の姿が見えないのに気づいた。胸さわぎを覚え、川辺へ向って駈け出した。土手の上まで来て立ちすくんだ。捨雄が水を蹴って深みに向っているのを見たのだ。彼女は夢中で追いすがった。

短編の純文学小説みたいな映画だった(・∀・)

現在と過去が交錯しながら話が進んで行くのが最初はわかってなくて
(´・ω・`)?となったがすぐ慣れた。

形骸化した家族、というよりかもとより愛なき"イエ"で育った名倉さくら(久我美子)が
友人の乾幸子(有馬稲子)の言葉により自らが壊れずに来れたのは名倉捨雄(川津祐介)の
存在によるものだと気づくも時既に遅しというかいずれにしても許されなかった関係に
心を残し嫁に行き、残された捨雄は母と共に呪われた"イエ"を後にするのが主軸?

名倉強之進(永田靖)の死後、諸悪の元凶のようにも思えた名倉トミ(東山千栄子)もまた
"イエ"を憎む犠牲者の一人だったんかなと思えた。さくらの嫁ぎ先の決まった後に
吐き出した台詞を聞いていたら、なんだかそう思えた(´・ω・`)


解説には、

昨年帰国した岸恵子のために、「この天の虹」の木下恵介が書下し監督した農村メロドラマ。

とあったけど、岸恵子が演じる捨雄の母・名倉春子は脇役のような。

帰国ってなんだろうと思ったら、

1957年:『忘れえぬ慕情』の撮影がきっかけで、フランス人の映画監督イヴ・シャンピ(Yves Ciampi)と結婚。フランスで、作家・川端康成の立会いのもと挙式。以降、パリに居を構え、フランスと日本を往復しながら女優を続け、「空飛ぶマダム」と言われた。この頃に、サルトル、ボーヴォワール、マルロー、コクトーらと親交を持つ。
岸惠子

フランス人監督と結婚してたんか。

有馬稲子は綺麗だったが、演じていた乾幸子は支離滅裂なことを言うキャラだったw
言っていることに信憑性がないというか、異常な感じのキャラだった。
さくらの気づきを促す為だけの存在だったような。

笠智衆が若かった(・∀・)


まあ風景は綺麗だったし、純文学っぽいものだと認識して
観る分には良いのではなかろうか(・∀・)

『キューティ・ブロンド』を観た

キューティ・ブロンド

主人公のエル・ウッズは、ブランド・ファッションで身を固めた典型的なValley girlで、CULAでファッション販売促進を学び、また社交クラブ、デルタ・ヌーの会長。卒業が間近となったある日、上院議員を目指す彼氏のワーナーは「ブロンド女は議員の妻にふさわしくない」との理由でエルを振る。
しかし、なんでもポジティブ思考の彼女は一念発起して、彼と同じハーバード大学のロー・スクールに行くことを決意する。

非常にステレオタイプなアメリカ映画だったけれども、そこそこ面白かった(・∀・)


Valley girlってなんだと思ったら、

Valley girlはくだけたカルフォルニア英語方言 Valleyspeak(ヴァリースピーク)と生気を失った物質主義によって特徴づけられる白人女性の社会経済的階級を表している固定概念です。この表現は初めは、1980年代初期にロサンゼルスのベッドタウンであるサンフェルナンド・バレーに住む、少し裕福~裕福な中産階級と中産階級の上位層を指しました。

やがて、特徴と振る舞いはアメリカ合衆国とカナダに拡散し、知的発達や個人的な成果よりもショッピング、個人の容姿、社会的地位に興味を持つ、悪びれずに甘やかされて育った「あほ」と「脳足りん」の風刺へと変化しました。
Valley girl

ということらしい。

詳しくは読んでないけど、American Slang: Valspeakによると、

  • Valleyspeakは'90年代後期~'00年代にもピークが来ていたらしい。
  • Valley girlというステレオタイプ自体はモール文化の衰退やらその他のステレオタイプへの移行により減っているらしい。

出演者一覧を見ても全く知ってる人がいない。
まあ元々海外俳優の名前を余り知らないからだけども(ノ∀`)

色々眺めてるとCSIやらダメージやらテレビシリーズに出ている人が多いようだけども
その辺はあんまりまともに観たことがないのでやっぱりピンと来ない。

エル役のリース・ウィザースプーン

ルイジアナ州ニューオリンズにて、外科医の父親と看護学の博士号を持つ母親の間に生まれる。兄がいる。ウィザースプーン家はアメリカ独立宣言書にサインをした名家でもある。幼少の頃にドイツ・ヴィースバーデンで過ごし、テネシー州ナッシュビルに移住。
(略)
女優業だけでなくType A Filmsという制作会社を経営して、製作・プロデュースも行っている。また、アメリカの化粧ブランドエイボンのグローバル・アンバサダーや、国連女性開発基金(UNIFEM)の親善大使を務めている。

という名家の出で色々とブイブイ言わしている人のようだが、

2013年4月19日に夫であるジム・トスが飲酒運転により逮捕されると、彼女も警官の命令に従わなかったとして逮捕されてしまった。

何してんだw

主演兼製作総指揮をした続編「キューティ・ブロンド/ハッピーMAX」は面白いのだろうか。

取り敢えず3に前向きでないことを考えるとこけたんだろうか。
リース・ウィザースプーン、『キューティ・ブロンド3』への出演を辞退。


方向性は全然違うけど「デーヴ」のような感じのライトな映画だったかなぁ(・∀・)

『打倒(ノック・ダウン)』を観た

チャンピオン白坂(滋野定夫)に打たれて大山がダウンして以来、野中拳会長野中(大坂志郎)の夢は破れた。数日後、スポーツライターに誘われて京南大のボクシング部を訪れた野中はレクリエーションにボクシングをやるという高野昭(赤木圭一郎)に目をつけた。そしてその強烈なパンチとファイトにもう一度夢をかけることにした。

そんなに真剣に観ていなかったので特に大した感想がない(ノ∀`)

トニーこと赤木圭一郎の映画を観た。早死したのは知っていたが21歳でだったんだねぇ。

赤木 圭一郎(あかぎ けいいちろう、1939年(昭和14年)5月8日 - 1961年(昭和36年)2月21日)は、日本の映画俳優。本名、赤塚 親弘(あかつか ちかひろ)。通称はトニー。

映画『激流に生きる男』セット撮影中の昼休憩時にセールスマンが持ってきたゴーカートを日活撮影所内で運転中、咄嗟にブレーキとアクセルを踏み違え60km/h以上のスピードで大道具倉庫の鉄扉に激突

このセールスマンってこの後どうなったんだろうか。

顔は良いと言えば良いがぐっと来るものはないな。
俺氏がおっさんだからということもあるが、

日活のアクション俳優として、“タフガイ”石原裕次郎、“マイトガイ”小林旭に続く「第三の男」と呼ばれた。

というあの時代の流行りの顔だったからというのもあるかもしれない。
あの系統の顔はあんまりハンサムって思わないし。
身体は締まっていてボクサーと言われても信じちゃいそうな感じだった。


俺の高品格が出てた(・∀・) まだ若くて一瞬誰だかわからなかった。
元ボクサーだからトレーナー役として起用されたんだろうか。

髭面だったが中原悟郎役の岡田真澄でかっこ良かった。
何故か岡田准一に似てるように見えるシーンがあったw

昭の兄・高野雄介(二谷英明)のパートって必要だったんだろうかw
一応昭がボクシングをやり始める展開には兄の失脚は必要だったのかも
しれないけれども、そういうのでなくても良かったというか、
会社でのお話はいらんかったような気がする。

雄介を陥れようとする天川技師を演じる佐藤慶って名前は知っているなぁと
wikiで見たら、「切腹」「蘇る金狼」「駅 STATION」辺りで脇役として
出てるな。あんまり記憶にないけどw

序盤から三谷ひろ子(和田悦子)が何度も出て来て
「あんまりヒロインが可愛くないな(´・ω・`)」と思っていたが、
美知子(稲垣美穂子)がヒロインだった(ノ∀`)


ノーガード戦法やらチャンピオン戦後の展開ってこの当時なら新鮮な感じ
だったんだろうなぁ。

うーん、これ以上、特に感想はないなぁ(ノ∀`)

『善魔』を観た

善魔

新聞社の編集部長・中沼(森雅之)は、かつて想いを寄せていた政治家の妻・伊都子(淡島千景)の失踪事件を追うよう、部下の三國(三國連太郎)に命じた。三國は記事にしないことを約束に、親友の家に隠れていた伊都子の取材に成功し、同時に彼女の妹・三香子(桂木洋子)と恋に落ちるのだが……。
岸田國士の同名小説を原作に、人は善を貫くために時に魔の心を必要とすることの是非を問いかける野心作。

監督が木下恵介ということで面白いことを期待して観たけど微妙(´・ω・`)

木下恵介というと「お嬢さん乾杯!」「カルメン故郷に帰る」「二十四の瞳
喜びも悲しみも幾歳月」と今まで観た作品は軒並み俺氏の中では比較的
高い評価の作品が多かったので期待しすぎてしまったのかな。


何処にも善というものを感じないというか理性なき独善の暴走、
より正確に言うならば感情の暴発を正当化するための正論の悪用と
しか思えない三國の行動とその上司の過去の色恋沙汰の残滓が
メインの物語のように思えた。

劇中内で"善魔"についての定義を中沼が語るのだけれども、
それ自体が納得いかなかったので、映画そのものを好意的に
受け入れられなかったのも当たり前と言えば当たり前かw
そもそも絶対的な善もないし、善の定義なしでいきなり
"善魔"とか言われても、俺氏の中の阿藤快が「なんだかなぁ」
ってぼやいちゃうよ(´・ω・`)

話の展開もなんか雑な感じがしたw
わざわざ東京に戻らずに電報で呼び出すべきだろと思ったり。


三國連太郎はこの映画がデビュー作で、役名をそのまんま芸名にしたらしい。
中々色男フェイスだった。「飢餓海峡」の時に調べて知ったその過去を
考えると何とも複雑な気分になるw 

この劇中では三國連太郎が"純粋な良い人"として評価されているが
(観てる方からするとそうとも思えなかったが)、それに糾弾される
中沼役の森雅之が「白痴」で"純粋な良い人"を演じていることを
考えるとちょっと面白いと思った(・∀・) まあこの映画と
「白痴」とでは"純粋な良い人"というものは別物なんだけれども。
この映画が1951年2月17日公開、「白痴」が同5月23日公開と
同年に公開されているのもなんだか面白い感じがするw

関係ないけど森雅之って有島武郎の息子だったんかΣ(゚∀゚;)

笠智衆が演じていた鳥羽了遠もなんか変な感じだったな、そう言えば。

桂木洋子が演じる鳥羽三香子を観ていて、そう言えば「醜聞」でも蛭田の娘が
死んでいたなと思っていたら、その蛭田正子役を演じていたのが桂木洋子だった(ノ∀`)
田中圭みたいな死に俳優だったんだろうか(・∀・)


まあ話はともかく三國連太郎のデビュー作なので、そういう意味では
観る価値は多少はあるかもしれない(・∀・)